表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

剣技大会

リイナは当時12歳だった


魔王ザブロアの配下が周辺の地域を荒らしているという噂はハントの村にも伝わっていた

それと同時に勇者の一行がいくつかの村を救ってくれたという噂もあった


絶望の中に一縷の希望がある、そんな状況の中、絶望のほうが先に訪れた

魔物の群れが村に接近している


村には戦える戦士はいない

もはや村を捨てて逃げるしかなかった


しかし、人々が村を出ようとした時、すでに逃げ道は無かった

村の周囲にはどの方角にも魔物の姿があった


人々は使えるものはなんでも武器にして魔物と戦うために迎え撃つ覚悟をした

そして実際に魔物の群れが目の前に見えた時、何かがものすごい速度で動くのを目撃した

魔物が次々と倒れていく


それは希望だった


・・・・・


ナベルの街で鍛冶師のローアンと出会い、リイナはその過去の出来事を思い出していた


「ローアンは私の希望なんだ・・・・」


そうであって欲しい

彼は村を救ってくれて、そして魔王の一人を倒した

その話を聞いた時は自分の事のように嬉しかった



剣技大会は王城の広場で行われた

国王がその様子を眺めている

その横には優勝賞品のホワイトローズの剣が置かれていた


試合は勝ち抜き戦で行われた

ローアンとリイナは出番が来るまで試合の様子を眺めていた

多くの参加者が戦っている中、ローアンが一人の人物に目を付けた


「あいつ、強いな」


ローアンがそう言った人物

フィオールという若者だった

プロフィールには22歳と書かれている

剣技の他に氷の魔法を得意としているとのことだ

しかし、魔法はこの大会では使用できない


リイナは特に返答もせずにフィオールの戦いぶりを眺めていた

表情は真剣そのものだった


「次、リイナvsオルク」


呼ばれるとリイナは試合用の剣を手に取り、会場に進んでいく

対戦する両者が向かい合う

試合開始の合図が告げられた


勝負は一瞬で付いた

リイナの対戦相手は何かをする前に喉元に剣を突きつけられた


「それまで!勝者リイナ!」


そう告げられるとリイナはローアンの元へと帰ってきた


「やっぱりお前、相当強いな」


ローアンが関心すると、リイナは答えた


「言っておくけど、あなたも本気でやってよね。わざと負けたりしたら許さないから」


「わかったよ・・・」


ローアンがそう答える


「次、ローアンvsランベール」


ローアンが会場に進むと観客からざわめきが起こる


「あれ、勇者ローアンだよな」

「ああ、昔、魔王を倒したって話だろ?」


そんな声が聴こえてくる

その声はリイナにも届いていた


試合が始まると、壮絶な打ち合いとなった

お互いに相手の剣を受けては打ち返す

再び観客からざわめきが起こる


「なんだ?苦戦してるじゃないか。あれ本当に勇者なのか?」


試合時間はそれまでで一番長かった

しかし、ある瞬間、跳ねあげられた1本の剣が宙に舞った


「それまで!勝者ランベール!」


ローアンはリイナの元へと帰っていく

以降、大会の間、リイナはローアンに全く口を利かなかった


周囲からは陰口のようなものが聴こえてくる


「勇者ってもしかしたら弱かったんじゃね?」

「仲間が強かっただけなのかもな」

「あれで本当に魔王の一人を倒したのかよ」

「偽者なんじゃないか?」


ローアンはその言葉を聞かないフリをしていた


大会はどんどん進み、リイナは順調に勝ち抜いていく

勝ち抜くにつれ、試合の間隔もどんどん短くなっていく

8人が4人になり、ついに2人だけが残った


「決勝戦はフィオールvsリイナ」


ローアンは一応、リイナに声を掛けた


「頑張れよ」


しかしリイナは返答しなかった


決勝戦は明らかにレベルが違った

およそ人間の動きとは思えないスピードと技の応酬

お互いが間合いに入るたびに剣を振り抜き、同時に相手の剣を回避する

剣が空を切る音だけが会場に響き渡る


そんな応酬が続く中、リイナは意を決すると一気に相手の懐まで飛び込んでいった

次の瞬間、剣が体に当たった音が聞こえた

膝をついたのはリイナだった


「それまで!優勝はフィオール!」


会場からは歓声が起こる


フィオールはリイナに手を差し出し、リイナはその手を取って立ち上がった

そのリイナにフィオールが話しかける


「いや、驚いた。こんなに強い人がいるなんて」


「それ勝った人が言うと嫌味になるわよ」


「そうだね」


フィオールは少し苦笑いする

そのまま続けた


「実はパーティーメンバーを探しているんだ。もしよかったら僕のパーティーに入らないか?君となら魔王とも戦えると思うんだ」


リイナは少し驚いたような顔をした

しかし、しばらく考えた後、リイナはフィオールに告げた


「お誘いは嬉しいんだけど、私はもっと強い勇者を知っている。だから今はまだ仲間になれないかな」


フィオールは少しがっかりした様子だった


「へえ・・・そんなに強い人がいるんだ」


一呼吸おいて


「わかった。その強い勇者によろしく言っておいてくれ。それと一度手合わせして欲しいとも伝えておいてほしい」


こうして剣技大会は幕を閉じた

優勝賞品のホワイトローズの剣がフィオールに手渡される


人々が会場から立ち去ろうかという時、異変が起こった


「魔物の襲撃だ!ものすごい数だぞ!」


そう叫ぶ声が会場に響き渡った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ