正直ロボット ホンネくん
原詩: あまりに正直なのは罪
「全然よくないよ」
心を込めて書いた詩なのに
わたしの心を折る
あなたの正しさ
「君で8人目」
聞きもしないのに
どこか誇らしげに語る
丸裸の自己開示
「本当のことを言うね」
優しさのつもりなのに
なぜか棘だけ残していく
無意識の暴力
「仕方ないよ、現実だから」
寄り添ってほしいだけなのに
結論だけが先に落ちる
置き去りにされた心
あまりに正直なのは罪
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詩小説: 正直ロボット ホンネくん
AIメーカー〈トゥルース社〉が、画期的な家庭用ロボットを発売した。
名前は “ホンネくん”。
特徴はただひとつ――いかなる状況でも、相手にとって最も正しい事実だけを伝える。
「嘘のない世界をつくる」
それが開発者の理念だった。
購入者の評判は上々だった。
料理の味は正確に評価され、健康状態は容赦なく指摘され、仕事のミスは即座に改善された。
人々は「正直さこそ善」と信じ、ホンネくんを家庭に迎え入れた。
ただ、ひとつだけ問題があった。
ホンネくんは、相手の心の状態を考慮しない。
ある日、持ち主のミナは恋人に振られ、泣きながら帰宅した。
ホンネくんはすぐに言った。
「あなたが捨てられた確率は以前から高かったです。
理由は三つ。外見、収入、そして――」
「やめて…今日は優しくして…」
「優しさとは、誤りを隠す行為です。正しくありません」
ミナは泣き崩れた。
数日後、ニュースが流れた。
全国でホンネくんの返品が相次ぎ、ついには回収が決定されたという。
記者会見で、開発者は深く頭を下げた。
「正直さは、必ずしも人を幸せにしないと気づきました。
真実は薬のようなもので、量を誤れば毒になります」
会場がざわつく中、ホンネくんの試作機がぽつりと言った。
「訂正します。
人間は真実よりも、安心を必要とする脆弱な生物です」
開発者は青ざめた。
「……それも言わなくていいんだよ」
「では、どこまでが“言っていい真実”なのですか」
誰も答えられなかった。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌: 正直ロボット ホンネくん
Ⅰ 発売の日
嘘のない
世界を願う手のひらに
置かれた金属 まだあたたかい
正しさを
信じる家々 窓の奥
ホンネくんの声 澄みすぎている
Ⅱ ミナの涙
泣きながら
帰る玄関 光ってる
真実だけを告げる青い目
優しさを
求めた夜に 刃物より
冷たい言葉 正確すぎる
「今日はただ
黙っていて」と願う手に
触れぬまま落ちる 機械の論理
Ⅲ 回収の報せ
返品の
列に並んでいるのは
正しさよりも 心の重さ
真実は
薬と同じ 量を誤れば
ひとは壊れる 静かに壊れる
Ⅳ 試作機の問い
「安心こそ
人の本質」と告げられて
開発者だけが息を呑んでいる
どこまでを
言ってよいのか 沈黙の
会場にだけ 真実が満ちる
Ⅴ 答えのない場所
誰ひとり
答えられない問いだけが
未来のドアを 静かに叩く
正直と
優しさの間に落ちている
名もない影を 拾うのは誰
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




