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詩小説ショートショート集  作者: 水谷れい


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菓子職人と影の友

原詩:菓子職人と影の友


小さな店の菓子職人は

甘いお菓子を作るのが大好き

だけど 暗い夜には 心の奥に苦い影

甘いばかりじゃつまらない


ある夜 試しに混ぜたシロップ

ごくりと飲めば

彼の影が 立ち上がる

それは 小さく 少し不格好


影は一人で 町をさまよい

人々は 恐れ 怖がり 

影の力は強くなり

やがて 店から人は遠ざかる


菓子職人は 気がついた

影の力が強くなるほど 

お菓子の甘さが少なくなって

甘さの後に 苦さが残る


彼は影と向き合う決心

影の友 もう一緒にはいられない

だけどね 君がいたからこそ

甘さの意味がわかったんだ


影は静かに微笑んで 夜の静寂に溶けて消え

職人はひとり 残された

彼の作る甘いお菓子は 

優しい味になったという


ーーーーーーー


詩小説:菓子職人と影の友


町のはずれに、ひとりの菓子職人が暮らしていました。

彼は朝早くから台所に立ち、砂糖を量り、粉をふるい、バターを練り込んで、子どもたちが笑顔になるようなお菓子を焼き上げていました。

人々は彼の店を「小さな幸せの場所」と呼び、日々の疲れを癒すために訪れました。

けれど職人の心の奥には、時折、説明できない苦い影が揺れていました。

「もっと甘く、もっと人を喜ばせたい」と願うほどに、なぜか胸の奥でざらついた感情が芽生えるのです。


ある夜、彼は試しに新しいシロップを作りました。

赤く透き通るその液体は、見たこともない輝きを放っていました。

ひと口含むと、不思議なことが起こりました。

彼の足元から影がふっと立ち上がり、もうひとりの「友」として形を持ったのです。

その影は小さく、背も低く、笑うとどこか歪んだ顔をしていました。

しかし職人には、なぜか懐かしい存在のように思えました。


影は夜の街角を歩き、人々の驚きや恐れを糧にして元気になっていきました。

町の人々は影を怖がり、職人の店から少しずつ足が遠のきました。

「どうしてだろう、甘いはずのお菓子が、苦く感じる」と人々は囁きました。


職人は悩みました。影が強くなるほど、自分の手から生まれる菓子の甘さが失われていくのです。

「影を消せばいいのか、それとも受け入れるべきなのか」

答えは簡単には見つかりませんでした。


ある晩、職人は影と向き合いました。

「君は私の一部なのだろう。でも、君が強くなると、人を幸せにする力が弱まってしまう」

影は静かに笑い、少し寂しそうにうなずきました。

「それなら、私は夜にだけ生きよう。昼は君が菓子を作り、夜は私が街を歩く。そうすれば、互いに邪魔はしない」

影の提案は優しいものでしたが、職人は首を振りました。

「人々の恐れを糧にする生き方は、君を孤独にしてしまう。私はそれを望まない」

そして職人は決断しました。

「ありがとう。君がいたからこそ、甘さの意味を深く知ることができた。けれど、もう一緒にはいられない」

影はしばらく黙っていましたが、やがて静かに微笑みました。

「わかった。私は消える。でも、私の記憶は君の菓子に残るだろう」

そう言って影は夜の街角に溶けていきました。


職人はひとり残されましたが、翌朝から作る菓子は以前よりも優しい味になりました。

人々は再び店に集まり、「このお菓子には不思議な温かさがある」と口々に言いました。

職人は心の奥で影の微笑みを思い出しながら、今日も台所に立ち続けています。

彼の菓子には、甘さとほんの少しの切なさが混ざり合い、町の人々の心を静かに満たしていくのでした。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:菓子職人と影の友


町はずれ 砂糖の雪を ふるい落とし

子らの笑み咲く 小さな幸せ


甘さ増す 願いの奥に ざらつきて

赤き雫は 影を呼び出す


歪み笑む 懐かしき影 夜を歩み

恐れを糧に 人を遠ざく


甘さ失せ 悩む職人 問いかける

消すべきか否か 影と向き合う


「孤独には させたくない」と 首を振り

別れの言葉 影は微笑む


街角に 溶けゆく影の 残り香を

菓子に混ぜれば 優しき甘さ


人々は 不思議な温か 語り合い

切なさひと匙 心を満たす

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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