岩瀬の馬鹿
原詩:笑うだけの王国 ー そうであったならの詩
村の片隅に、ひとりの男がいた。
名はイワン。人々は彼を「馬鹿」と呼んだ。
理由は簡単、彼はいつも笑っているからだ。
畑を耕すときも、石につまずくときも、悪魔が耳元で囁くときも。
「戦に出よ」「富を奪え」と兄たちは叫ぶ。
だがイワンは首を振り、麦の芽を撫でて笑う。
やがて村は不思議な変化に包まれた。
戦を拒む者が増え、富を分け合う者が増えた。
笑い声が広がるたびに、悪魔たちは居場所を失い、森の奥へと退散していった。
ある日、村人たちは気づいた。
「この国を救ったのは、馬鹿と呼ばれたイワンだ」と。
イワンは王に祭り上げられた。
だが王冠を渡されても、彼はただ笑うだけだった。
王冠を畑の案山子にかぶせ、イワンは裸足で土を踏みしめる。
「畑仕事には邪魔だもの」
その王国は「笑うだけの王国」と呼ばれた。
人々は馬鹿を笑い、馬鹿は人々と笑い合う。
そしてその笑いの奥に、光る真心があった。
この幸せな日々がいつまでも続きますように。
本当に。本当に。
ーーーーーーー
詩小説: 岩瀬の馬鹿
岩瀬は郊外にあるコンビニで働いていた。
大学を中退し、昼は畑を手伝い、夕方からはコンビニでレジを打つ。
客から「要領が悪い」「馬鹿だな」と笑われても、彼はただ「そうですね」と笑うだけだった。
ある雨の夜、コンビニに高校生らしき二人組が入ってきた。
財布を開けると、どう見ても小銭が足りない。
「すみません、二つにはあと五十円足りないんです」
二人は一つずつおにぎりを握りしめ、困った顔をしていた。
店長は眉をひそめると、冷たく言い放った。
「足りないなら買えないよ。一つにしときな」
岩瀬は少し考え、自分のポケットから百円玉を取り出した。
「じゃあ僕が出します。お腹すいてるんでしょう?」
そう言ってレジを打った。
別の日、近所の子どもが百円玉を落として泣いていた。
岩瀬は自分のポケットから百円玉を取り出し、
「落とした分は、僕が預かっていたことにしましょう」と渡した。
子どもは笑顔になり、母親は深々と頭を下げた。
店長は首をかしげた。
「君は馬鹿だ。損ばかりしてる」
だが、いつしか店には不思議な空気が漂い始めた。
客同士が譲り合い、笑い声が増えた。
やがて地域の人々は気づいた。
「この店が居心地いいのは、あの馬鹿のせいだ」と。
【店長の業務日誌】
うちのコンビニと岩瀬のことがSNSで話題になっている。
そして、小銭が足りないという客が増えてきている。
由々しきことである。
もちろん、岩瀬以外のアルバイトがお金を出すことはない。
そんな、当たり前のことに不満顔の客がいる。
金を出すのを岩瀬に許したのは私のミスだった。
わたしのミスはミスとして、岩瀬には辞めてもらわなくてはならない。
=====
わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:岩瀬の馬鹿
郊外の コンビニ灯り 雨に揺れ
馬鹿と笑われ ただ「そうですね」
小銭なく おにぎり二つ 握る子に
百円差し出す 夜のぬくもり
泣く子には 落とした分を 預かりと
馬鹿の手渡す 百円の光
損ばかり 店長嘆く その間に
譲り合う声 店に満ちたり
居心地は 馬鹿のせいだと 人は言う
笑いの輪立つ 小さき聖域
業務日誌 由々しきことと 書きながら
馬鹿を辞めさす 冷き決意
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




