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詩小説ショートショート集  作者: 水谷れい


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35/91

夜のスープ 吉本ばななに捧ぐ

原詩:「キッチンの向こう、アムリタの夢 ー 吉本ばななタイトル詩」


キッチンの灯りが消えた夜、

TUGUMIが海辺でささやいた。

「哀しい予感がするの、N・Pのページをめくるたびに」


ハチ公の最後の恋を見届けたあと、

白河夜船に揺られて、

アムリタの夢を探しに行く。


とかげのように静かに、

デッドエンドの思い出を抱えて、

ひな菊の人生を歩いてきた。


不倫と南米、

マリカの永遠の夏、

アルゼンチンババアの笑い声が

風に溶けていく。


「みんな、夢のなかで会おうね」

とかげが言った。

「うたかた/サンクチュアリの向こうで、

哀しい予感が晴れるまで」


ーーーーーーー


詩小説「夜のスープ 吉本ばななに捧ぐ」


灯りの消えたキッチンで、彼女はスープを温めていた。

自分のためではなく、誰かのために。


窓の外では、海の寄せるような風が吹いていた。

都会の真ん中なのに、波の音が聞こえる気がした。

それは、彼女の記憶のなかにある音だった。

もう会えない誰かと、最後に交わした言葉のような。


スープがふつふつと沸き始める。

彼女はスプーンを手に取り、ひと口だけ味見をする。

少し塩が足りない。

でも、それでいいと思った。

完璧じゃないほうが、誰かの記憶に残る気がするから。


テーブルにスープを置いて、彼女は椅子に座る。

誰もいない部屋で、静かにスープを飲む。

それは、祈りのような時間だった。

「また、夢で会えたらいいね」

彼女はそうつぶやいて、スープの最後の一滴を飲み干した。


その夜、彼女は久しぶりに夢を見た。

海辺で、誰かが笑っていた。

風がやさしく吹いていた。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:夜のスープ 吉本ばななに捧ぐ


灯り消え

ひとりのために

鍋を抱き

見えぬ誰かへ

湯気は立ちのぼる


都会にも

波の音して

風が寄る

記憶の岸辺

声はまだ遠く


ふつふつと

塩足らぬまま

味を知る

不完全こそ

残るぬくもり


椅子に座り

祈りのように

啜る夜

「夢で会えたら」

言葉は溶ける


その夢に

海辺の笑みと

風の手が

久しぶりなる

やさしき眠り

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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