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詩小説ショートショート集  作者: 水谷れい


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22/95

灰の観測者

原詩:誰が悲しみを撒いたのだろう!


黒い雲が空を埋めて

 黒い雨が街を溶かす

黒い風が空を駆け抜け

 黒い炎 街を焦がす


孤児は空に飛び去り

 金持ちは地上に蠢く

浮浪者は橋を壊して

 役人は川に呑まれる


佝僂病の悲しい子供は

 灰になり風に散る

孤児は微笑浮かべて

 灰になり空に昇る


涙を抱いたやさしい娘は

 灰になり涙は乾く

長い髪の冷たい女は

 灰になり髪も残らない


誰が光を消したのだろう!

誰が悲しみを撒いたのだろう!

誰が世界を壊したのだろう!

誰が未来を捨てたのだろう!


ーーーーーーー


詩小説: 灰の観測者


世界が終わる日、ぼくは屋上にいた。

黒い雲が空を埋め、黒い雨が街を溶かしていくのを、ただ見ていた。

風は黒く、炎も黒く、色彩はすべて喪われていた。


人々はそれぞれの終わりを迎えていた。

孤児は空へと飛び去り、金持ちは地上で蠢き、浮浪者は橋を壊し、役人は川に呑まれた。

ぼくはそれを記録していた。誰に見せるでもない、誰に伝えるでもない記録を。


佝僂病の子供が灰になり、風に散った。

微笑む孤児が灰になり、空に昇った。

涙を抱いた娘が灰になり、涙は乾いた。

長い髪の女が灰になり、髪も残らなかった。


ぼくは問いを発した。

誰が光を消したのか。

誰が悲しみを撒いたのか。

誰が世界を壊したのか。

誰が未来を捨てたのか。


けれど、返事はなかった。

ぼくは灰にならなかった。

なぜなら、ぼくは観測者だったからだ。

この世界が終わるまで、終わることを見届ける役割を与えられていた。


そして、最後の灰が風に舞ったとき、ぼくは立ち上がった。

記録を胸に、ぼくは歩き出した。

次の世界へ。

まだ誰も知らない、色のある世界へ。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:灰の観測者


黒き雲 屋上に立ち ただ見たり

雨は街を 溶かし尽くせり


孤児翔び 金持ち蠢き 橋崩れ

川に呑まるる 役人の影


灰となり 散りゆく子らの 名も消えて

記録の頁に 風だけ残る


問いかける 誰が光を 消したのか

返事はなくて 灰のみ舞えり


観測者 灰にならずに 立ち上がり

胸に記録を 次の世界へ

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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