石鹸まみれの
原詩:世間にまみれて
わたしは タワシ
あなたは 穴だ
わたしがあなたを みたしても
ただ とげとげが痛いだけ
それでも
世間は 石鹸
世間にまみれた わたしが
あなたの中で ぐりぐりうごけば
そのうち あなたも気もちが良くなり
そして
わたしが去ったあと
あなたは きれいになるでしょう
すべてを 水に流したあとには
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詩小説:石鹸まみれの
あるところに、タワシが住んでいた。
彼は硬くて、ざらざらしていて、触れるものをこすらずにはいられなかった。
世間は石鹸でできていて、みんな泡立っていた。
タワシもその泡にまみれて、毎日を生きていた。
そんなある日、彼は「穴」に出会った。
穴は静かだった。
何も語らず、ただぽっかりと空いていた。
タワシは言った。
「あなたを満たしてあげたい。わたしであなたの空白を埋めたい」
穴は答えなかった。
タワシはぐりぐりと動いた。
泡をまとって、穴の中をこすった。
とげとげが引っかかって痛かった。
穴は少しずつ傷ついた。
それでも、タワシはやめなかった。
「世間にまみれたわたしが、あなたの中で動けば、きっとあなたも気持ちよくなるはず」
やがて、穴は少しだけ笑った。
「痛いけれど、なんだか懐かしい気がする」
タワシは満足して、去っていった。
あとには、きれいな穴が残った。
泡は消え、水が流れ、すべてが静かになった。
穴は、自分の中に残った感触を思い出していた。
ざらざらしていて、痛かった。
でも、確かに「触れられた」気がした。
そして、穴は初めて、自分が「空いていた」ことに気づいた。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:タワシと穴
石鹸の
世間にまみれ
ざらざらと
こすらずには
生きられぬタワシ
泡の中
ぽっかり空いた
静けさに
声もなくただ
穴は開いてる
「満たしたい」
ざらつく棘で
擦りながら
痛みの奥に
懐かしき影
泡消えて
水の流れに
残されし
きれいな穴の
ひそかな記憶
触れられて
初めて知りぬ
空白を
痛みとともに
わが身に抱いて
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




