96話 5人の戦士ナニレンジャー
山川部長と場所を移して話を詰める事にした。
廊下に出るとそこには何故か3係の菊田さんがいた。あれ?土屋らの家から出てきたんだ?
菊田さんは宙に手を上げてステータスを操作しているようだった。
「あの、……フレンド一覧から、登録してあった数人がさっき消えました。…………たぶん、死んだの、かも」
部長も慌ててステータスを開いていた。
フレンド一覧は相手もしくは自分がフレンドを解除した場合に一覧から名前は消える。
ゲームではフレンドが死んでも神殿で生き返るので一覧から名前が消える事はなかった。
この世界……死んだら、フレンド一覧から名前が消えるのか。
俺はもともとアイツらとフレ登録をしていなかったので気が付かなかった。
菊田さんの言う通り、十中八九、死んだのだろう。
部長は、副部長と係長5名あと2係は係長がいなかったので2係全員を登録していたらしい。
「2係の大崎さん……と、6係の島君が、消えてる」
「菊田さん、そっちのフレ一覧からは誰が消えてる?」
「いや、俺も、登録、そんなにしてなかったから…」
「部長、助けるなら急がないと。一旦あっちゃん達のとこに戻って伝えたらすぐに飛びましょう」
俺らが地下室の女子部屋、あっちゃん達がいる部屋へ向かうと何故か菊田さんもついてきた。
まだ何か伝えたい事があるのか?
疑問に思ったが、今はゆっくり聞いている暇はない。
女子部屋をそっとノックすると扉の近くにいた女の子が気がついて出てきてくれたので、あっちゃんを呼んでもらった。
あっちゃんに開拓村の大脱走の話をした。
あっちゃんがユイちゃんを呼んでくる間に、俺は男子部屋のヨッシー達に声をかけた。
寝ている子供らを起こさないようにまた地上の部屋へ戻った。
地上の小部屋に、俺、あっちゃん、ユイちゃん、ヨッシー、ユウスケ、部長、菊田さん、そして新田さんの8人が集まった。
「あれ? 西野さんは?」
「あ、西野ちゃんは小さい子に埋もれてたから起こさなかった。起こしてこようか?」
「いや、後で伝えてもらえればいいか」
それから部長がかいつまんで話した。
妊婦であるあっちゃんに衝撃を与えないように、フレ登録から消えた人らがいる事は黙っていた。
が、あっちゃんは聡い人間なので、すぐにフレ一覧を開いて確認をしたようだ。
「まずいですね。結構消えてますよ。助けに行くのヤバ目な気がするー」
あっちゃんのその発言にヨッシー達も慌ててステータスを確認していた。
「んー…とりあえずブックしてある林付近に飛んでみようと思う」
「かなりキケンチックな匂いがするー」
「うん。飛んで、危険だったらすぐ戻る。近くに誰かいて、戻りたいようなら連れ帰るし」
「なんかアイツらのせいでカオっちが危険に晒されるのヤなんだけど」
「カオさんが行くなら僕らも行きたいですけど、足手まといだろうか」
「今回はこっちで待機してくれ。ガッツリ救助ってわけじゃない。とりあえずパパっと飛んで見るだけだ」
あっちゃんは俺が危険な場所助けに行く事に反対だった。部長が“職業”持ちである事、今回一緒に行く事を話したら、しぶしぶオッケイしてくれた。
その時、今まで黙って聞いていた菊田さんが口を開いた。
「あの…自分も職業持ちなので、武器とかあるし、一緒に行きます」
え?菊田さんも“職業”持ち?ゲーマー?
ユイちゃんの後ろにいた4係の新田さんもおずおずと口を開いた。
「あの、すみません、私も持ってます。職業拳士で武器装備あります。怖いけど一緒に行きます」
ここにきてステータスの“職業”持ち(=ゲーマー)がふたりも発覚した。
あ、部長入れて3人発覚か。
実は新田さんは“そうだろう”と思ってた。
新田さんとフレ登録を交わした時、新田さんのネームが“ナオリン”だったから。
通常はフルネーム“ニッタナオ”と表示されるはず。
それが、“ナオリン”だったのでゲームのキャラ名だろうと思っていた。
これで5人の戦士が揃った。
カオ(俺) ウィザード
ナカマツアツコ 騎士
ヤマカワジロウ 剣士
ナオリン 拳士
キック ダークエルフ
そう、菊田さんとフレ登録したら“キック”だった。あっちゃんと部長はゲームキャラ名が本名だ。
5人と言ったがあっちゃんは妊婦さんなのでもちろん留守番だ。
剣士、拳士、ダークエルフ、ウィズ。前衛、前衛、前衛、後衛か。
新田さんも菊田さんも部長や、あっちゃんと同じでゲームをすぐやめた口だった。
新田さんはホラー系のゲームへ。
菊田さんはパソコンではなくゲーム機の方へ転換したらしい。
なので皆、初期装備だそうだけれど、あるだけマシだ。
とりあえずパーティ登録をした。もともとあっちゃん達とパーティ登録をしていたので、そこに3人が加わることとなる。
パーティ可能人数が8名でよかった。ギリギリだ。
教会の中庭に移動をして、人目がないことを確認してそれぞれが装備を装着した。
ゴブリンがわんさかいるところに飛ぶかもしれない。できる限りの準備は必要だ。
「フレンドからまた減った」
ユイちゃんが悲壮な声で言った。
急ごう。
時間がない。




