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91話 戦略

「どう戦う?」



 ゴルダが俺に向かって面白そうな顔をした。まわりの皆はシンと固唾を飲んで聞いている。



「150人が2500匹に囲まれて一斉に襲われたら、それはヤバイ」



 俺はゆっくり話す。



「けど、何で囲まれるまで待たなきゃならん? なぜ、広い場所で奴らを待つんだ? なぜ、やつらが来るまで待つんだ? 俺なら待たない」



「ならどうする?」


「こっちが先に動く。奴らの端っこから引いて来る。こっちは4〜5人ずつで待ち構えてもらい、そこで引いてきたのをボコってもらう。ドンドン引いて来るからドンドンボコってもらう」


「だが、アイツらが気がつき一斉に動いたらどうする?」


「そもそも広い場所ではやらない。奴らが一斉に動いても少数ずつしか通れない場所とかで引き回す。それでも大群が押し寄せたら、その大群を俺が引いているので作戦第2段へ移行だ」


「第2段?」


「そ。大群を引いて4〜5人のパーティの元には行けん。だから皆は一旦引いて隠れてくれ。とりあえず俺は大群を引いてそこらでグルグル回っている。回っていれば大群も行列になって追ってくるはずだ。だから今度はその大行列のしんがり、一番後ろのやつからをパーティでボコってくれ。そうやって交代でしんがりをボコり数を減らしていく」


「ふむ……なるほどな。詳しく聞こうか。中へ来い。皆への説明は冒険者が全員集まってからする。とりあえず皆は街中の冒険者に声をかけてくれ! 解散!」



 ゴルダのひと声で皆んなは散っていった。絶望一色に染まっていた顔の者達の中に明るい顔の者も出始めていた。



 俺はゴルダに連れられて冒険者ギルドの二階の奥の部屋へ連れて行かれた。

 部屋にはゴルダと数人のギルド職員が一緒に入った。




「作戦の大まかな流れはわかった。が、いくつか問題がある」



 ゴルダにうながされて椅子に座った。



「まずその作戦では第一第二ともに、お前が常に走り回る事になる。お前がへばったら作戦は失敗になると思うが?」


「引き役の交代もありだが、この辺じゃあまり“引き狩り”をしてないんじゃないか?」


「ううむ。斥候が索敵して引いて来る事はあるが…」


「俺がいたとこじゃ(ゲームだけど)斥候スキルとかがなかった。だから…長く走れるやつが魔物や獣を引いて走る。それを仲間が倒すという狩り方が主流だった。だから俺は“引き狩り”に慣れている。慣れていない者が引くと失敗してやられる可能性が高い」


「しかしお前ひとりが走るのは無理があるだろう?」


「そこは大丈夫。実は作戦…というか、俺には召喚魔法がある。足の速い魔物を召喚して俺を担いで走らせる。魔物がへばったらまた次の魔物を出すので大丈夫だ」


「そういえばサモナーだったな」


「あれ? 誰かから聞いた? 俺の魔法」


「まぁ、いろいろ、な。稀人さまだしな」



 ゴルダはニヤリと笑った。



「だから“引き”に関しては安心してもらっていい。問題は第一作戦の狩場をどこにするか」


「狭く、4〜5人が待機して戦える場所が複数か」


「出来ればその場所までは細い道がいい。大量についてこれないように。また、行き止まりはダメだ。次のパーティの場所へ移動できない」


「ううむ」



ゴルダは考え込んだ。



「あの、北西の草原の左手側にある岩場、あそこはどうでしょう?」



 ゴルダの後ろに立っていた職員が言った。



「迷路岩か! なるほど、あそこか! いいかもしれん」


「迷路岩?」



 聞いてみると絶好の引き狩り場だった。

 4〜5メートルの高さの岩がボコボコと広い範囲であり、以前は鉱物が出た事で冒険者が採掘に訪れた場所だそうだ。


 鉱物は掘り尽くされた現在は巨大な岩が穴だらけで放置されているらしい。


 穴と言っても縦穴ではなく、浅い洞窟のような横穴で、岩場は迷路のように細い道と掘った穴で入り組んでいるらしい。

 しかもなかなかおいしい鉱物だったらしく、ランクに限らずほとんどの冒険者が掘りに行っていたらしい。


 なので大抵の冒険者には慣れた地なわけだ。まさに第一作戦に適していると思われた。



「いいな、そこ」


「第一作戦は迷路岩に決定だな。第二はどこにする?」


「第一でどこまで減らせるかにもよるが、そこからあまり遠くないとこがいいな」



「大群を引ける場所か」


「林前の草原でいいか。迷路岩からもそこそこ近いんだよな?」


「斥候を林前の草原にたてて貰えるか?俺が林と迷路岩を行き来してる間に森林から大量に出てきたら知らせに来てほしい」


「大量とは? どれくらいだ?」


「んーだいたい百くらいかな? 迷路岩へは20〜30で引くからつられて百以上出るようなら、第二段へ移行だ。それと事前に場所の確認をしたい。地図とかでなく実際に行ってみたい」



 そう、実際に行って場所をブックマークしないと!


 俺は実は結構な方向音痴だったりする。それはゲームでも発揮された。


 待ち合わせ場所をよく間違え、血盟主のみが使える魔法“コールクランメンバー”のお世話になったものだ。

 “コールクランメンバー”とは血盟主が自分の血盟のメンバーを自分のもとに瞬時に呼び寄せる魔法だ。血盟主のみが使える魔法だった。




「そうだな。冒険者達各パーティの第一待機場所、第二待機場所の割振りをする。地図を持ってきてくれ」


「ここに!」



 ゴルダやギルド員達が地図を囲んで話し始めた。

 俺はそれが終わるのを静かに待った。



 しばらくしてある程度の割り振りが決まったようだ。ゴルダはギルド員に外を見に行かせ、冒険者が集まったのを確認させていた。


 そして今回の戦いの詳細が説明された。


 一方俺はひとりギルド員に連れられて馬に乗せられ『迷路岩』まで連れてこられた。

 もちろん、要所要所でのブックマークは忘れない。



 ひと通りブックし終わったのでエリアテレポートでギルドまで戻った。もちろん馬とギルド員を連れて。

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