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76話 閑話 竜の慟哭、カオと狩りをする

-------(バルトロ視点)-------


 僕はバルトロ。

 竜の慟哭というパーティの冒険者だ。と言っても竜の慟哭は現在、剣士のヒューゴ、弓士のメリー、盾士の僕バルトロの3名のみのパーティだ。


 いずれはもっとメンバーを増やす予定なんだけど、まだランクもDだからね。


 ランクDの冒険者が受けられる依頼は、街中の仕事か、もしくは街からあまり離れずに薬草採取や獣狩りがほとんどだ。

 僕たちも街から近い場所で獣を中心に狩っていたが、ここひと月は狩りプラス人探しも行っていた。



 探してるというか、会えたらいいな、という感じなのだが、その人物はカオさんという20代くらいの冒険者。

 犬を3匹連れた弓士で、かつ魔法も使えるすごい冒険者!



 僕らはひと月ほど前に受けたゴブリン討伐依頼でピンチにおちいった。その時に助けてくれたのがカオさんだった。


 カオさんは急いでいたようでたいして話す間も無くすぐに街に向かって去って行ってしまった。

 だが、同じ街にいればすぐ会えると思っていたのに、これがなかなか会えずにいた。



 カオさんは僕たちより高ランクで、街よりずっと離れた狩場の依頼を受けているのだろうか?

 僕たちのようにこんな街の近くで狩りなんてしないのだろう。だからなかなか会えないのかと若干諦めの境地にいた。


 そんなある日、冒険者ギルドでカオさんを見かけた。

 ギルド長のゴルダさんの勧めで、なんと僕たちはカオさんと一緒に狩りをする事となった。


 そして驚いたのは、カオさんも僕たちと同じランクDだった。しかも、なりたてのD。

 今までは街中の仕事をずっとしていたそうだ。どうりで外で会えないわけだ。


 というわけで僕たち竜の慟哭3人とカオさんはパーティを組んで街の外に狩りに行った。




 驚きの連続だった。


 カオさんは前に会った時には肩に弓を担いでいたから弓士と思ったが、今回はなんと杖を出したのだ。


 前の時に魔法を使ったので魔法使いである事には驚かなかったが、杖!どこから出した!

 まさか、マジックバックという高級アイテム持ち?


 マジックバックはポーションがいくつか入る小さい容量の物から、寝袋や武器、盾などが入る物など、容量がいろいろあるらしい。

 いずれもそれなりの値段なので高レベルの冒険者になって稼がないと持てない物だ。


 カオさんがマジックバッグから出した杖は2メートル以上ありそうな長さと頑丈そうな作りだった。

 あれが入るとは、かなり容量の大きいマジックバッグなのかな?さすがカオさん。


 それと出した杖にも驚いた。


 魔法使いの杖は、細い枝のような『ワンド』、1メートルよりは短いが棒のような『ロッド』、使う者の身長より長く作りも立派な『スタッフ』、大きく3つに分かれる。


 使い道によってもそれぞれ変わっていくが、『スタッフ』と呼ばれる杖は高ランクの賢者クラスが持つと言われていた。


 カオさんが出した杖は、カオさんの身長を遥かに超える長さのスタッフ。

 しかも上半分は何か見たことのない金属で覆われていた。そんな立派な杖をマジックバッグから出したのだ。


 さらに驚いたのは、イノシシとの戦いの時だ。ヒューゴやメリーにトドメを指すように指示を出していたが、あれ絶対、もう死んでた。

 カオさんが、杖で殴って……。



 ヒューゴもメリーも指示につられて動いていたが、変な顔になってた。

「え、これ、もう…」みたいな。

 まるで前衛のごとく物理攻撃する魔法使いって………。しかもイノシシ瞬殺。



 イノシシ3頭を倒した時点で今日は街へ戻ろう言う話になった。というのも、狩ったイノシシが思いの外大きく4人で持つのは無理そうだし、これ以上狩っても持って帰れないなら無駄である。


 200キロ以上ありそうな大きなイノシシが3頭。木の棒にイノシシの手足を括り付けて前後で担ぐとしても、4人では2頭しか持ち帰れない。



「一番小さいこれを捌くか」


「そうねぇ、牙と毛皮だけでも持って帰りたいわね」


「そうですね。危険だけどここでササっとやってしまいましょう」


「え? 何で? 3頭持って帰らないのか?」



 カオさんが不思議そうに聞いてきた。



「いや、さすがにこの大きさだとふたりで一頭担ぐのが精一杯」


「捨てていくなら一番高く売れそうなとこだけでも解体して取っていこうと」


「え? 大丈夫だよ。全部持って行こうよ。太い木に三頭ぶら下げて前にヒューゴとバルトロ、後ろはメリーと俺で持てばイケるぞ」


「いやいやいや、いくら何でも3頭は」


「この大きさだと三頭合わせると600キロは越えそうだし」


「メリーは一応女だし」


「一応って何よ! 確実に女よ!」


「いや、大丈夫だって。ウエイトライトかけるし」


「ウエイト?」


「ああ、荷物が軽くなる魔法。たぶん大丈夫だと思うぞ」



 え、何、その魔法。




 結構太くて長さのある木にイノシシを三頭ぶら下げた。前後にふたりずつ立って木を持ち上げようとしたが、全く持ち上がらなかった。



「ウエイトライト! ウエイトライト! ウエイトライト! ウエイトライト!」



 カオさんが4人向かって唱えると、それは簡単に持ち上がった。



「結構重いな」



 カオさんがつぶやいた。

 イヤイヤイヤイヤ、4人で担いで楽勝の軽さ。普通にありえないから。



 カオさんって何者?

 いや、考えるのをやめよう。

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