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51話 6LDKの戸建賃貸

 -------(鹿野香 視点)-------


 翌朝、俺たちは3人でギルドを訪れた。もちろん賃貸物件を捜すためである。



 ギルドを覗くといつものカウンターにゴルダがいたので彼の窓口に行った。

 ゴルダの横の窓口は数人並んでいたのに何故かゴルダのとこは誰も並んでいなかった。


 何でだ?顔が怖いからか?



「おはようございます ゴルダさん」



 一応敬語で挨拶した。もちろん“さん”付けで。


 俺の実年齢49歳から見たら30代に見えるゴルダはたぶん年下だ。

ステータスに載っていた39歳でもまだゴルダとどっこいどっこいか?

 だがまぁ、一応この街の新参者として丁寧に挨拶をする。決して、顔が怖くて下手に出ているのではない。



「今、何か失礼な事を考えてなかったか?」


「…………考えていませんよ」



 するどいな。顔が怖いとか考えたことがバレたか?ゴルダ、特殊なスキルでも持っているのか?



「持ってないぞ」



 なんと!相手の心が読めるスキル持ちか!



「読めないぞ」


「鹿野さん! 顔と声に出てますよ!」



 大森さんがアワアワしながら小声で俺の肘を突いた。



「え? うそ、出てた?」


「出てましたねー」



 中松さんがサラッと俺にとどめを刺す。



「すみません」



 とりあえずゴルダに向かって頭を下げた。



「俺って"正直"スキルでもあるのかな」とつぶやいたら、


「そんなスキルは聞いたことがないぞ」とゴルダが呆れていた。


「ただの正直者だから…」と中松さんからツッコミがきた。


「怖い顔とか正直とかふたりとも‥‥」と、大森さんが俺と中松さんの間でアワアワしていた。



 挨拶はさておき、賃貸物件の相談をした。できれば月に銀貨5枚程度で門の近くの借家がよい。

 街の中心は家賃がゲキ高だと言うので、いっそ中心から思いっきり離れて門の近くはどうかと話し合ったのだ。


 ギルドや市場はブクマをしてあるので、用があればテレポすればいい。

 生活の安定を優先して、まずは安い家を借りたいと申し出た。



 ゴルダは一度席を外した。

 戻ったときには何かの書類、ゴワゴワした紙を手にしていた。その用紙を広げて、南門の近くに一軒あると指差した。



 そんなに小さくはなく二階建ての一軒家。一階は2部屋と大きめのリビング兼ダイニングキッチン、二階は小さい部屋が4つあるそうだ。

 3人で住むには十分な広さだ。


 6LDKで月に銀貨5枚は破格だが何か理由があるのか聞いたところ、門の近くは不人気なのだそうだ。


 魔物や獣が街に侵入した時に門の近くは真っ先に狙われるからだ。金のあるやつは街の中心に住みたがるらしい。壁沿いにスラムが出来ているのもそんな理由だ。



 それと、この世界ではどこもそうだが、トイレは家の外、風呂はなし、との事だった。(貴族とかは別みたいだが)


 この街には風呂屋があるそうなので、そこに通うことになる。

 ちょうどその家から徒歩5分くらいの場所にも小さいが風呂屋があるそうなので、いいんじゃないかな。


 何故門の近くに風呂屋が?と疑問に思い聞いてみたら、狩などで外から戻った者たちがひと風呂浴びて汚れをザッと落してから家なり宿なりに戻るそうだ。


 ゆっくり浸かって疲れを落とす日本の風呂とは違うかもしれないな。

 ちなみに街の住人は、週に1〜2度、風呂に入ればいい方だそうだ。


 3人で6部屋プラスリビングの6LDKは広すぎるかと、少し悩んだ。が、銀貨5枚だとここがイチ押しだとゴルダに言われ、借りることにした。


 手続き(そんなたいした手続きはなかったけど)は中松さんにお願いした。


 俺はテレポで宿に戻り、荷物(これといってないけど)をまとめ、宿を出ることを女将に伝えてテレポでギルドに戻った。(正確にはひと気のないギルド裏だ。そこをテレポート用にブックマークしてある)



 その後、ゴルダに案内してもらって南門近くの借家まで歩いて行った。

 南門前の大通りから細い道に入ってすぐなのでわかりやすかった。

 街の中心までは徒歩30分くらいかな。ギルドまでは徒歩40分くらいだ。徒歩ならね。


 俺にはテレポート魔法がある。ふふふふ。ウィザード万歳!

 さっそく家の裏庭もテレポート用のブックマークをしておいた。


 ひととおり家を案内した後ゴルダはギルドに戻っていった。

 わざわざ案内をしてくれるなんてゴルダ、いいヤツだなぁ、顔は怖いけど。



 さて、そろそろ昼になるし、神殿のみんなはもう開拓村に出発したことだろう。



「中松さん、大森さん、もう一度神殿に行ってこっちで暮らすことを部長に報告してこよう」


「そうですねー。バカな部下なんかほっとけばいいのに、部長、全部抱え込んでるからなー。うちらだけでも心配かけないようにしよー。お局ズやワガママゴンズと同列と思われたくないわ。でも疲れたー、ちょこっと休みたいー」



 ワガママゴンズ?1係の我儘ママさんズの事かな?1係は50名全員が既婚者の契約社員だった気がする。

 ほとんど交流した事は無かったがいい噂も聞いた事はなかった。


 ちなみに悪い噂を流していたのは他の係のおばさ、社員さんがた。

まあ、その社員さん自体も悪い噂ばかりだった。

 スゲェよな……悪口合戦。


 というか!

 みんなどんだけ自分棚上げで他人の悪口言ってんだよ!あの部署は他人の悪口ばかりで褒めるヤツ見た事ないな。



 中松さんは疲れたようでリビングの椅子に腰を下ろしながら腰をさすっていた。

 妊婦さんを歩かせすぎたかな。



「私が行ってきますよ」



 中松さんを気遣って大森さんが申し出た。



「んじゃ、中松さんは留守番してて。俺と大森さんで行ってくるよ」


「あ、でも鹿野さん、みんなと会いたくないですよね?」


「ん〜、会いたくない派はだいぶあっち、開拓村に行ったんじゃないか?部長とかなら、別にどうとも思ってないから大丈夫だよ。それにエリテレもためしてみたいし」


「えりてれ?」


「なんですか、えりテレって」



 腰をさすってた中松さんが食いついてきた。



「俺の魔法でエリアテレポート。複数人が一緒にテレポートできる…はず、たぶん?」


「「テレポート?」」



 中松さんと大森さんがハモった勢いにちょっとビビった。



「う、うん テレポート」


「えええええ! テレポート! さすが魔法使いー!」


「すごいすごいズルイズルイ! 魔法ズルイー」


「さっきもしたよ、この家の手続きをしてもらってる時、宿屋まで荷物とりにいってきたよ」


「あ、あのときか。トイレかと思ってた」


「ドラエボンだ! ドラエボンがここにいます〜! 何ちゃらドア〜〜」


「いや、ドラエボンのドアと違ってブックマークしないと飛べないから。まあ、神殿の裏門の中はブクマしてあるから、ここからそこにひとっ飛びできるよ」


「「行きます!」」



 ふたりはハモって返事をしてキラキラした目で迫ってきた。



「う、うん、わかった。3人で行こうか?でも、ちょっと休もう。表の大通りで何か買ってくるから、休憩がてらランチとって、それから神殿に行こうか」


「は〜い。私、買ってきます! 鹿野さんと中松さんは休んでいてください」



 大森さんが飛び出して行った。若いっていいねぇ。





「…………すみません、お金なかったです」



 が、すぐに恥ずかしそうに戻って来た。

 お金を持っていない事に気がつき戻ってきたそうだ。大森さんに銀貨一枚を渡したら、再び元気よく飛んで行った。





 大森さんに買ってきてもらったお肉が挟まったパンをリビングで食べた。

 神殿の帰りに買い物をしてこようか。

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