41話 閑話 トイレ事情 中松あつ子
-------(中松あつ子視点)-------
時間はちょっと遡り、前日の夕方。
大通りで夕飯をごちそうになった後、鹿野さんの泊まっている宿に案内してもらった。
宿に入ると鹿野さんは女将さんみたいな女性から鍵を受け取って私に渡してきた。
「今日は疲れただろうからもう寝よう。明日いろいろとゆっくり話そう」
「そうですね〜。TVもネットもないし、あ、でもすぐ寝れそう……疲れた」
「おやすみ」
「おやすみなさい〜」
挨拶をして自分の部屋に入り中を見渡した。
安いビジネスホテルのような狭い部屋に小さいベッドと小さいテーブルがギリギリ入るような部屋だった。
ベッドは木のベンチを少しだけ広くしたものにシーツを敷いただけのもの。クッション性も弾力も全くない、しかし、神殿の廊下に皆で雑魚寝よりずっと落ち着く。薄くてもかけ布団?毛布?があるから。
ベッドに腰掛けてひと息ついてもう寝ようと思ったところで、トイレに行きたくなった。
ああ、トイレかぁ。
騎士さんのとことか神殿もだけど、トイレがねー。この国、ボットンなのよ。ボットンなのはまだいいのよ、匂いも我慢出来る。
ただねー。
紙が!紙がないのよ!葉っぱか布なのよーーーーー!
高級ホテルはどうかわかんないけど、この宿は……、葉っぱだよね、きっと。
葉っぱ置いてあるかな?自葉っぱだったらどうしよう。持ってないよ。
あ!鹿野さんに聞いてみよう!あのスーパー派遣の鹿野さんだもん。葉っぱ持ってそう。
部屋を出て鹿野さんの部屋へ向かう。もう寝ちゃったかな。
コンコンコン
「かのさあん」
「ん?どした?」
鹿野さんはすぐに顔を出した。よかった、寝てなくて。
「トイレ行きたいんだけど…」
「ああ、この宿のトイレは外なんだよ。一階の裏口から出るとすぐなんだけど」
「ううう。申し訳ないけど付いてきてほしい! 外トイレ、怖い」
鹿野さんが笑いながら、一階外のトイレまで案内してくれた。
外は真っ暗だった。日本のようにそこらじゅう明るい照明がついているような街じゃないんだね。
一階の食堂のそばを通ったときにも、食堂のテーブルに小さいロウソクのようなものが灯りになってた。
ふと、自分の足元が明るく照らされている事に気がついた。見ると、鹿野さんが手にランプのようなモノを持っていた。
ん?部屋からもってきたのかな?ランプ。
ランプ、部屋にあった?
トイレの前に来ると鹿野さんはそのランプを渡してくれた。
「少し離れたところで待ってるから、何かあったら声かけて。あ、あとこれも」
そう言ってトイレットペーパーを渡してきた。トイレットペーパーだよ!トイレットペーパー!勿論、紙の!!!
葉っぱあるか聞こうとしたその前に紙!待望の紙を渡された!
あなたが紙か、いや、神か!!!
トイレが明るく紙もある幸せ。
日本では当たり前で気がつかなかったこんな幸せ。
いつもより少なめに紙を使用した。だって、これ、使い切ったら…葉っぱ。
トイレから出て鹿野さんのとこに行き、紙とランプをお返しした。
「ありがとおおおおおおおお」
「いえいえ」
クスリ笑いされた。
この世界に来て2日だけど、なんか濃いな〜
とにかく、寝よう。うん。




