28話 イッヌと初戦に挑む
ヘイスト状態で草原を突っ走る。
3匹のイッヌも楽しそうについてくる。
時々マップを確認すると赤い点がいくつかある。草原にもモンスターはいるんだな。
でもかなり遠いから無視無視、そのまま突っ走る。草がビシバシ当たるが全く痛くない。
すごい勢いで走っていると前方にイノシシがいたので止まった。
アブナイアブナイ。
このまま行ったらイノシシを踏んでしまうとこだった。ゲームの悪夢が蘇った。
が、ふと思う。
初心者の頃はイノシシにサクっとこちらが狩られていたけど、ゲームキャラがレベルアップしてからはイノシシに殺されることはなくなったよな?
というか、逆にこっちがイノシシごときは瞬殺だったよな?
ステータス画面にはレベルなどの数字出てなかったけど、今の俺ってどうなんだ?
落ち着いたら要検証かな。
で、ゲーム上ではイノシシ殺っても経験値もアイテムも貰えないのでイノシシを狩る人はいなかったけど、ここではどうなんだろう。
異世界転移ものの小説だと、イノシシの肉は食べれるとか売れるとか、イノシシさん結構美味いんじゃないか?(味のことじゃないよ)
犬達の強さをみるためにも、ここでちょっとやっとくか?万が一のときはテレポすればいいし。
さっきの、「森と草原の境目」もテレポ用にブクマしてある。
こっちをジッと見ているイノシシに向けて弓を構えた。
イッヌ達は俺の行動の意味を理解したように、体勢を低くして草むらに姿を隠しつつ飛び出すタイミングを図っているようだった。
パヒュン!
俺が射た矢は真っ直ぐにイノシシへ向かい飛んでいき、イノシシの肩あたりに突き刺さった。
放たれた矢と同時に3匹がダッシュしてイノシシに飛びかかっていた。
あっという間にイノシシは倒れた。
だが俺は背中から2本目の矢を取り出して構えた。
ゲームで犬やイノシシは“仲間意識”というシステム仕様により、一匹が攻撃を受けると近くの同種が集まってきたのだった。
ここではどうかは知らないが油断なく2射目に備えた。すると周りから3頭のイノシシが犬達に向かうのが見えた。
一番先頭のイノシシに向けてまず一矢、続く2頭目3頭目に向けて二矢を放った。
先頭は矢が頭を貫いたようでその場に倒れた。
2頭目、3頭目は背中に矢が刺さったまま、ターゲットをこちらに変えた。
俺に向かって走ってきた。
ひいいい!
ゲームでの悪夢に瞬間身体が固まり、弓矢を射つか魔法を打つかパニックになった。
が、すぐに二頭の後ろから犬達が飛びかかっていた。
イッヌ3匹の応戦でちょっとだけ落ち着きを取り戻した俺は、弓を地面に投げ捨ててアイテムボックスからスタッフ(杖)を取り出した。
近接になると弓では戦いづらいからだ。うちのイッヌに誤射したらエライこっちゃだし。
一頭のイノシシにはクラたん(シェパード)とエンカ(ドーベルマン)がくらいついていた。
もう一頭はペルペル(セントバーナード)を振り切って俺に突っ込んできた。
俺は、横飛びで避けながらファイアボールをぶちかました。豚の丸焼きならぬイノシシの丸焼きが出来上がった。
「ふおぉぉ 接近戦は怖いな」
パソコン画面で操作するのと自分が実際に戦うのは大違いだ。膝が小刻みに震えていた。
もう一頭の方はちょうどクラたんとエンカが倒したところだった。
スタッフをアイテムボックスに戻して地面の弓を拾った。
血まみれのイノシシ二頭と丸焦げの一頭もアイテムボックスに収納した。
足元に戻ってきた三匹を撫で回しながら褒めて、念のためヒールをかけておいた。
それからしばらくは何とも遭遇せずに草原をビュンビュンと進んだ。
1時間くらい走った頃か、エンカが俺に向かって一声鳴いたあと、ターッと横にそれて背の高い草の中に入って行った。
「?」
何だろう?オシッコかな?
止まって待っていたらエンカがウサギをくわえて戻ってきた。
「おお!エンカ!エライぞぉ」
エンカをわっしわっしとなでてからウサギをアイテムボックスにしまった。
3匹と再び走り始めるが、今度は3匹とも一声ないていなくなり、
ポツンと止まって待っていると、エンカがまたウサギをくわえて戻ってきた。
クラたんは鳥(何の鳥だろう?)をくわえて戻ってきた。
2匹をわしわし撫でて褒めていると、ペルペル(ゴスペルの愛称)が戻った。
ペルペルは蛇、しかも結構デカイのをくわえていた。
「捨ててきなさい」
ペルペルは、ガーンとショックな顔をしたあと、とぼとぼと草の中に捨てに行った。
さて、今、どのあたりかな?
確認のためにマップを開いたら、割と近くに赤い点が5つと黄色い点が3つ固まっていた。




