25話 街へ向かう準備①
さて、ここから街に向かうとして、マップを見ると街道(おそらく街に向かう道)は大きく蛇行している。
草原を一直線に突っ切った方がかなり近そうだ。
やまとの団体さんは昼過ぎ頃に着く予定だと中松さんのメールにあった。
あいつらと一緒に入りたくはない。
だがもし街の出入りに身分証みたいな物が必要な場合、あいつらは騎士達に連れられているので身分証がなくても入れる。
だが、俺は?
そこで考えた俺の作戦は、団体さんが街入りした直後にドサクサで入るというものだ。
野グソしてて遅れましたーとかなんとか言えば入れてもらえるのでは?という安易な考えだが。
今は10時半すぎくらいか。
昼過ぎまであと2〜3時間、やまとの社員達が街入りした直後までに街に着けるだろうか?
あまりに時間が離れると同じ団体の一員と思ってもらえなくなるかもしれん。
バフォ変身プラスヘイスト魔法だと2時間くらいで行けそうだが、バフォを誰かに見られたら大騒ぎになるな。変身はやめた方が良い。
とりあえずヘイスト魔法だけだとして、それだと町に着くのに3〜4時間はかかるかもしれん。
いっそ草原を突っ切るか。蛇行した街道でなく草原を一直線に突っ切れば、3時間を切れるのでは?
みんなの街入りより多少遅れるかもしれないが、迷子の振りとかで乗り切れないか?
まぁ、ドサクサ街入り大作戦がダメなら、その時に考えよう。
俺はアイテムボックスを見ながら、装備も目立つから無しで皆んなと似たようなシャツとズボンとスニーカーにした。
武器は一応持っておこうと、アイテムボックスを探る。
さすがに武器なしで草原を突っ切るのは危険すぎるからな。
現在の手持ちの武器は、ウィズの杖とエルフの弓とドラゴンナイトのチェーンソード、あと対アンデッド用のシルバーソードがあった。
チェーンソードは却下。
チェーンソードとは、DKN用の武器で、剣を振るうと刃先がチェーンでビヨヨ〜ンと伸びて敵をバシュッと斬ったあとシュボンと戻ってくる剣だ。
PC画面で見てた時は気にならなかったが実際に使うとなると、何というハイレベルな剣だ!
俺、これ、使いこなせる気がしない。
戻ってきた刃先が自分にバシュッとささる未来が見える。
キケンキケンキケン。
練習して確実に使いこなせる自信が着くまでチェーンソードは封印だ。
いや、練習自体も危険じゃね?一生封印だな。
杖は近接向きじゃないしなぁ。
シルバーソードは近接用だが、アンデッドがいそうもない草原ではどうだろな。
というか、俺、剣使えるんか?
これが小説だと、実は主人公は剣道部とか弓道部で、異世界でもそれなりに最初から武器が使えたりするだろうけど、俺は帰宅部だった。
もちろん弓道も剣道も柔道も空手も、とにかくそういった事はやった事がない。
だが、弓は、実は一度だけ触った事がある。
かなり以前に仕事帰りに派遣仲間(派遣女子らに誘われて)とラウンドツーという巨大なゲーセンみたいなところに連れて行かれたのだ。
そこはいろんなスポーツが気軽に楽しめるレジャー施設だった。
そこにアーチェリーもあって、やってみた。
弓が重くてビックリした。そんで予想以上に硬い。硬くて全然引けないんだよね。
それでもなんとか矢を放ったら、ヒョロヒョロポトリと落ちた。的までなんてとても飛ばす事は出来なかった。
一緒に行った若い派遣ちゃん達に大笑いされて恥ずかしかったよ。
まぁ、今は職業欄にエルフがあるし、ゲーム時のエルフのレベルは52だったから、それなりに使えると信じたい。
とりあえず、弓、出しておこうか。
あと矢筒も出して背負う。
この矢筒、見た感じ矢が5本しか入っていないように見えるが、実は"無限の矢筒"なのだ!
無限の矢筒。
ゲーム内の弓エルフは大概この無限の矢筒の入手を目指した。
レベルが上がると狩りで大量の矢が必要になるのだが、アイテムボックスの容量に制限があったので長時間の狩りはすぐに矢不足に陥る。
だから矢を持ち歩かないで済む無限の矢筒が必要となるのだ。
エルフはある程度のレベルになるとクエストか高額売買でこれを手に入れていた。
ただ、無限の矢筒にもデメリットはある。
矢が、普通の矢 なのだ。ゲームではモンスターによって、シルバーアローやミスリルアローなど、付加価値のある矢の方が良い場合があった。
しかし無限の矢筒からは普通の矢しか出せないので攻撃力が格段に落ちる。
低ランクの狩場用って感じだったな。
まぁ、今現在は軽くて矢が無限(本当だろうか?)なのは助かるけどな。
お試しで射ってみようと弓を構えて背中から矢を一本抜いた。
あ、なんか、自然な動作だー。すごくない?俺すごくない?
ニヤニヤしながら矢をつがえて弓を引いてみた。
おお?ラウンドツーの時と比べ物にならないくらい軽く引ける。
やはりエルフレベル52だけあるな。
パヒュン
うおおおお!すごい飛んでいった!
的がないからあれだけど、とりあえずすげぇ飛ぶ。
そして無限の矢筒には矢が五本入っていた。
おおう。無限!サイコー!




