姉3
ふと気がついた。
王太子はとても優しい方だった。なのに妹とあってから、婚約を撤回したり、奇妙な政策を実行したりとおかしくなっていた。
これもすべて妹のせいなのではないかと。
妹は影で王太子を操っているのだと。気づいてしまった。
私はそれを伯爵様に伝えた。
伯爵様は大層驚かれて、しかし私から聞いていた話もあって、妹のその行いを信じてくださった。
そして私と伯爵様は計画をたてた。
妹を殺す計画を。
私は妹の誕生日を理由に、城へ入った。
そして妹に贈り物を用意した。毒の塗った針が仕込まれた贈り物。妹が倒れたら、伯爵が買収した衛兵が妹を隠し、私を逃す手筈だった。
私は妹にあった。
妹は何も変わっていなかった。
以前より肌は白く、美しく、そしてとても穏やかに、しかし目の奥は油断なく私を見ていた。
「お誕生日、おめでとう」
「お姉さまありがとうございます。でも驚きました。お姉さまが来てくださるなんて」
「そう? あなたは私の大事な妹だもの。当然よ。ね、今開けてみて」
妹は一瞬固まってそれからいう通りに開けた。
私が仕込んだ針は妹の人差し指を刺した。
「いたっ」
その声が上がった直後、妹は昏倒した。
これで全てがうまくいく。
王太子を操ろうとする邪悪な妹は消える。私は国を救った。そして英雄として伯爵様は讃えられるだろう。
なにより、今まで憎かった妹をこの手で殺せたことがうれしかった。
私は思ったよりも妹を憎んでいたのだ。
私は歓喜した。
けれどすぐに部屋をでて衛兵を呼ぶ。赤い髪の衛兵だと伯爵様が言っていた。
「全てとどこおりなく終わったわ」
そう伝えると、不思議そうな顔をされた。
なんだろう。そう思った直後だった。
「王太子妃様!」
衛兵が血相変えて叫び、妹を抱き抱えた。
そして別の衛兵に命じたのだ。
「その女を捕らえよ!」と。
私は、牢屋に入れられた。
それからは怒涛のようだった。
私は決して伯爵様の名を出さなかった。
拷問を受けても喋らなかった。
首を落とされるその瞬間まで。
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