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絶望エスケイプ  作者: 藤村 光莉
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5章 役に立ちたい強い気持ち

 気合入れで大きい独り言を言った後、ある技の発動にとりかかった。


 本に書かれている通りに慎重に....。

 「というか、色々書いてあるけど、技の名前を口に出すだけじゃね?」


 そう思い、試しに口に出してみる事にした。


 「れ、レンクス....ディフェンス」


 これでいいのか?


 すると、俺の前に左右に広がったバリケードのようなものが出てきて、俺達に迫ってくる砲丸のようなデカブツの動きを止めた。


 「おー」

 自分で出した技に感心していた俺ではあったが、すぐ状況が変わる。

 迫ってきていたデカブツは一体だけではなく、どうやらまだいたらしく、次々にぶつかってきた。


 ミシミシ。


 やがて、バリケードも耐えられなくなってきたか、音を立てて、少しずつ崩れ始めていた。


 「どうするべきか....」

 そう呟きながら、俺の出せる技をもう一度確認してみた。


 すると、


 「ファイヤーボーゲン!」


 後ろから声がしたと思うと、黒い砲丸に向かって幾本の炎の矢が突き刺さり、俺らに迫っていた脅威は黒く散っていった。


 「助かった....」

 落ち着いたので、後ろを向くと、どうやらアリーシャが技を出していたみたいだ。

 すると、アリーシャが俺に目を合わせてきて、


 「ねえ、ショウ」

 「ん?どうした?」

 「守るじゃなくて、攻撃してくれた方が助かったと思うんだけど....」

 「う....それは」


 そう言われると、ルルも同じような事を言ってきた。


 「そうだよ!急に技を出したと思ったら、ガードなんだもん!」

 「いや、こういうのは守りに特化している人がやるべきじゃん?だからしたんだよ」


 少しだけ言い訳をしたつもりで返したのだが、この返しに三人は、


 「いや、その技、出せるんだけど」


 「え、マジ?」

 「うんうん」


 これ、もう俺いなくて良くね?

 そう落ち込んでいると、


 「そう言わないでやってよ!確かにあの技は習得してるけど、頑強の値は私とかルルより高いから、役に立つ技だってあるかもしれないじゃん!」

 「だからお互い助け合っていこう?」


 こんな慰めをされたら泣いてしまうわ!


 「うう....、ありがとう、レイリ」

 「そんな反応されると困る....」

 「なんでだよー」


 そんな事を言い合いながら、先に進み始めた。


 先程、俺がわざわざ確認した分かれ道を抜け出し、四層へと入った。


 「思ったよりもスムーズに行けてるなー」

 「そう?」

 俺の呟きにレイリが返してきた。


 「なんだろう....俺は、もっと多くのモンスターと遭遇しながら自分も成長して先へ進めることを予想していたんだけど」

 「それだったら真っ先にショウがやられるんじゃない?」

 「何?」

 「だって、さっきもアリーシャの技がなければどうなってたかわからないじゃん?」

 「まあ、そこは素直に感謝しているんだけど」

 「能力でも少し私達より低いんだから、私達の後ろをついて来た方が安全かもよ?」


 ルルとの言い争いの中で、最後の発言をにやけながらしてきた。


 「言ってくれるじゃねーか」

 「だって事実だもん!」

 「上等だよ、なら前で戦ってやるよ!」

 「危なくなっても助けないもんねー」

 「当ったり前じゃねーか!」


 「はあ、どうしてこんなに二人は言い争うのよー」


 俺とルルの会話を聞いていたレイリがため息交じりにそんな事を言った。


 そんな会話をしていると、アリーシャが先程戦ったであろう小さな虫を発見した。


 「本当にさっきのデカブツがこいつなのか?」

 「そうなら、早めに倒しておいた方がいいかも」

 「やってて損は無いだろ」


 レイリと話す中で結論が出ると、レイリはその小さな虫を短剣で次から次へと倒していった。この程度の相手には技を出さずとも倒せるらしい。


 一匹だけではなく、たくさんの虫が見つけられたのでその処理をしていると、


 「何、コレ?」

 アリーシャが見つけたらしい。すると、


 「うわー!可愛いー!」

 「うん!うん!」それを見たレイリとルルはメロメロになっていた。


 「どうしたんだ?」

 そう言って、俺は、何がいるのかが知りたくなって見に行った。


 「何だ、こりゃネズミじゃねーか」

 「コレ、ネズミっていうの?きゃわいいー!!」


 レイリがメロメロになりすぎて、話し方が変になってきていたが、知らないフリをした。そうしていると、


 「ねえ、このモンスター、モフモフしていて気持ち良いよー」

 「嘘!?どれどれ....。いやー!!凄いモフモフ!これはたまらんなー!」

 「害も無さそうだし、連れて帰ってもいいんじゃない?」


 三人達の間で話が進み、そのネズミを両手に抱えて連れていくことにしたらしい。


 「本当にそいつは何もしてこないんだろうな?」

 「うん!攻撃も何もしてこないし、大丈夫だよ!」


 確認で聞いてみたが、さすがに反応も変わることはなく、俺も黙認することにした。


 引き続いて、虫を倒しながら進んでいく。当然、あのネズミも抱えながら。

 四層に入ってもネズミと虫以外はモンスターらしいものもおらず、あっさりと突破できそうな雰囲気がしていた。


 そういえば、あのネズミは本当に大丈夫だろうか。どこかで引っ掛かり、大丈夫とも思えない。


 「なあ、まだそのネズミを可愛がっているのか?そんな奴、探せばいくらでも....」


 そう言いながら、後ろを振り向いたが、


 レイリ達の姿が無くなっていた。


 「え?どういうことだ?」

 何が起きたのかよくわからない。はぐれるような場所でもないはずなのにどうして?


 四層の中では特に分かれ道もなく、ひたすら一本道だったのでひとまず歩いていた所を戻る事にした。


 「レイリー!アリーシャ、ルル!どこだー?」


 ただでさえ、視界が良くないので、声を上げて反応してもらう事を期待するしかなかった。


 だいぶ戻ってきただろうか。声を上げながら戻っていると、何やら這いつくばっている影が見えてきた。


 「何!?このタイミングで新しいモンスターか!」


 俺一人でやれるだろうか。ルルと口喧嘩もしていたが、言われた事は間違ってもおらず、否定もできなかった。

 でも、俺もどれくらい出来るかが知りたい。今度こそ、全力で!

 先程よりもさらに気持ちを引き締めて、影のある方へ進んで行く。すると、


 「う....ぐ....」

 苦しそうな声がした。人か?もしかして、俺以外に挑戦している人がいたのか?なら助けないと!


 急いで駆けつけると、そこには、


 見知れた三人が這いつくばっていた。


 「お前ら、何をしている?」

 「いやー、ね?ちょっとネズミに気を取られていたら急に体が動かなくなってー」

 「んな事あるかー!!」

 「本当なんだってー!!」


 レイリ達が必死に真実を言おうとするが、全くこうなった意味がわからず、立たせる事にした。


 どうせ、なんか罠にでもかかったんだろう。


 そう思い、手元や足元を確認したが、


 何もない。


 「お前ら、自力で立てないのか?」

 「立てないというか、力が入らないの!」

 「どういうことだ?」


 レイリが必死に助けを求めているので、ひとまずこの場を凌がないと....。そう思っていると、


 レイリが抱えていたネズミが顔を出した。そのネズミを見て強烈な違和感を感じた。


 「おい!コイツ、こんな色してたか?」

 「ん?このネズミのこと?きれいな色してた....え?ルル!アリーシャ!」


 レイリが慌てて二人に確認してもらおうとすると、

 「何よ、この色ー!気色悪い!」

 「こんな色じゃなかったはず」


 今、俺らが見ているネズミは紫色に染まり、毒々しいものに変わっている。


 「毒....」

 「お前ら、このネズミのせいで毒が回ってんじゃねーか?」

 「え?」

 「ちょっと大人しくしてろよ....」


 そう言って本から確認して発動した。


 「ポイズンブレイク!」

 三人に向けて技を発動すると、三人から何かが抜けたように体から暗いオーラが出ていった。


 「どうだ?気分は」

 そう三人に確かめると、


 「うん、うん!体が軽くなった!」

 「確かに!ありがとう!ショウ」

 「軽いぞー、軽い!」


 ふー、やっと目立つような形で役に立てたみたいだ。これが初めての貢献というのは気にしてしまうが。


 安堵した雰囲気を出していると、ルルが肩を叩いてきた。


 「ん?」

 「ようやく役に立ったね!!」

 「う....うるせー!!わざわざ思ってたことを口にするなー!」

 「うわー!逃っげろー!」


 レイリとアリーシャを置いて、ただひたすらルルをこらしめるために全力で追いかけた。


 それを見て、レイリが、


 「もう少し、仲良くしてくれないのー??」

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