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ハゲの女神の紆余曲折(仮  作者: うまうま
第三章 女神の再来
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第179話 聖女は耐える

 じわじわ広がっている感じはないからやっぱりおしるしか?

 現時点ではわからないが、とにかくもし破水だったららこのままここにいてはいけない。


 そっと耳に触れレティーナに合図を送って破水したかもしれないと念じれば、すぐに来てくれた。

 シャルも気づいて動こうするので軽く手を上げて止める。出産は時間がかかるものなのですよ。


 出産について具体的に聞きたがるシャルに最近講義(前区陣痛から本陣痛、胎児が第一から第四までの回旋をしながら徐々に出てくる事から後産まで)をしたばかりだから、すぐに座り直してくれてほっとした。さすがにシャルまで消えるのはどうかと思う。


 ちなみにシャルは聞きたがる割に説明すると青い顔していた。

 何度もやめとこう、男性だと話だけでも気分が悪くなる人がいるから知らなくても大丈夫だからと言ったのだが、続けてくれと言って聞かず結局最後まで話したのだ。強情というかなんと言うか。下手したらこの人、お産の部屋にまで入って来るんじゃないかという不安がそこはかとなくある。

 さすがにそれは嫌だ。前世で立ち合い出産の記事を読む事が多くなってはいたが、個人的に苦しんでる姿を見られるのは遠慮したい。幸い、この国ではその部屋は男子禁制なので侍女である友人達にお願いすれば大丈夫だろう。

 

 騒ぎにならないよう静かに会場を出ると待機していたネラーが駆け寄ってきた。


「いかがされました?」

「おしるしがあったか、破水かどちらかだと思うの」

「先生を呼んで参ります」


 即座に走りだしたネラーから視線を外し、レティーナに移す。


「レティーナ。申し訳ないのだけど破水だったら歩けないから誰かお願い出来る?」

「大丈夫ですよ。この間もちゃんと運べたでしょう?」


 そう言って嵩張るドレスごと抱えてくれて後ろに二人の女性騎士を従え、猛ダッシュするネラーの後を追ってくれた。すっかり、重力魔法を使いこなしている。

 運ばれている間に微かだがお腹に張りを感じた。ここのところ何度も感じている張りで、規則的なものではないから前駆陣痛かなと体内時計で測りながら考えているとお産用に整えられた部屋についた。

 先に走ったネラーが先生を待機させてくれていてすぐにドレスを脱いで診察すると、破水ではなくおしるしとのこと。

 痛みを聞かれたので、不規則に感じると答えれば念のためそのままそこで待機となった。

 人によってはここから数日たってから陣痛(本陣痛)が来るケースもある。本当に人それぞれなのでどんなもんかなぁと思いつつ、一応シャルに心配いらないと状況を伝えてもらえるようお願いする。


 侍女のみんなも待機となり、化粧も全部落としてお茶をしたり先程見たエリーナ様の晴れ姿を話してはしゃいだりしていると、思いの外早くに張りを感じる間隔が規則的になった。


 もしや私はスピード出産タイプ?

 と思ったがここから長引くケースもあるし、早く進みすぎると裂傷になりやすい。

 とりあえず先生にもう一度診察してもらうと、陣痛が来ているのは間違いないと言われ俄に慌ただしくなった。


 最初は腰が重だるい程度で全然余裕だったのだが、だんだんとそれが(汚い話で申し訳ないが)下痢をした時のような痛みに変わってきて、波が来ると下腹部全体が痛み濡れになって余裕がなくなってきた。

 波が来てない間に水分を取ったり、軽食を取るように言われるのだが、口に入れれる気がしない。猛烈に腹を壊した時にちょっと痛みが緩んだからといって水やらご飯やら口に出来ないのに近い感覚だ。吐きそうとかではないが、体が本能的に口にすればさらなる痛みが来ると感じて拒んでしまうというか。


 実際、水分や食事をとった方が陣痛がつきやすいし、赤ちゃんのためであるのだが、どうしても手が出ない。


 そしたら先生に無理矢理飲まされた。

 問答無用で口にコップを当てられて飲まざる得なくて……

 案の定というか、一段階陣痛の痛みが上がって本当に余裕がなくなって――


「声は出さないでください、息だけはいて」

「っ…はー……はー…ぁぁああ!」

「声はださない!」

「はっはっ…ぁー……はー……」

「そうです、お上手ですよ」


 くっそ痛い。痛いしかない。頭の中それ一色だ。魔力回復薬をがぶ飲みした時とは痛みの種類が違う。あっちは身体中がじくじくぎちぎちと痛む感じだが、こっちはどーん!と腹と腰が問答無用で痛くて身体が強張る。瀕死だったときとどっちが辛い?とか聞かれたら答えようがないのだが、あっちはもう最後は感覚がぼやけていたのに対して、こっちはいつまでたっても鮮烈な痛みが増して襲ってくる。


 痛みの波に合わせてネラーが尾てい骨をぐっと押してくれるとほんの少し痛みが和らいで楽になるが、もうどれだけそれをやってくれているかわからない。きっとネラーもヘトヘトなんじゃないだろうか。なんて霞んだ思考で思うもすぐに波がきて霧散する。


 これいつまで続くの?

 今赤ちゃん回旋入ってる?

 少なくとも第一回旋は終わってるよな? 

 第二回旋は? 子宮口は開いた?

 もうどれだけ経った?


「開いてきていますが、もう少しかかりますね」


 波が引いた瞬間診察した先生が、このくらいと子宮口の開き具合を指で教えてくれたが、それが五センチぐらいで(十センチ開かないといきめない)気が遠くなる。まだ第二回旋中って事かよ。

 まじで痛い。下剤をダースで食って、骨盤をガンガンバットで殴られて悶え苦しんでいるようなのだ。

 痛みに反射的に力が入るが、まだ入れてはいけないので必死に声を出さないように息を吐く。が、気を抜けば出る。抜かなくても出る。きつい。苦しい。痛い。


 妹よ。これは叫ぶわ。壁殴りたくなるわ。無理だ。声が出る。出ない方がおかしい。ストップ、たんまと言いたい。全面的に同意する。あぁまたくる――

ブクマ、評価ありがとうございます。

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