表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/9

第4話 はじめてのデレ

天城家にて、2階、階段を上がって手前の部屋。すなわち俺の部屋だ。ベットに机以外は全てアニメ関連の物が置いてある。ラノベや漫画を置いている本棚やアニメのポスター、タペストリーなんかも飾ってある。

そんな部屋で俺は慎重かつ冷静に今、自分が置かれている状況について考えている。


学校一の美少女の春崎美桜の両親が仕事の都合で海外へ旅立った。そこで幼馴染の俺んちで預かる事になった。よくラノベとかで見るような展開だが、俺と美桜は中学からずっと疎遠だった。そんな彼女と同じ屋根の下で暮らすなんて…ただでさえ、美桜は俺の事嫌っているみたいだし…




「祥太郎〜」



下から母親に呼ばれるのが聞こえて、俺は我に帰り、今行く、と返してから自分の部屋を後にした。

階段を降りて見ると、玄関の前に出かける用の服を着ている母親といつも通りの制服姿の美桜が立っていた。


「どっか行くの、お母さん?」


その格好に疑問を抱き、聞いてみる。


「ええ、ちょっとスーパーに買い出しにね。美桜ちゃんが来るから行くの忘れてたのよ」


と、母親が答えてくれた。すると、母親が続けて言う、


「それで、あなたは美桜ちゃんの荷物とかの手伝いしてあげてね」

「え?」


いきなりの発言に言葉を失った。てっきり、それはもう終わったかと思ったのに、、


「じゃあ、行ってくるね」

「ちょっ、ちょっと!」


バタン



「…………」


しばしの沈黙。



「別に手伝いたくないんたら、無理にしなくってもいいよ」

「え?」


そう言ってきた、美桜の方を見る。両手をお尻の方で組み、俺の方には向かず、いつも通りの無表情で。

別に俺は手伝いたくないわけじゃない…ただ、美桜が俺の事が嫌いだから迷惑と思って…


「い、いや、別に良いよ。手伝うよ」


歯切れが悪いが、そう言ってた。


「あっそ」


そう言うと美桜は2階に行ってしまった。気のせいだろうが、何故かその時の彼女は少し早足だった気がする。

気にせず、俺も美桜の後を追って2階に行く。

自分の部屋のすぐ奥になる、仮部屋、今は美桜の部屋に入った。その部屋には元々ベットと机があったからそこら辺の心配はいらない。美桜は部屋の真ん中になる二つのダンボールの中身を出していた。


「もう一つのダンボールから物を出せばいいのか?」

「ええ」


短い返事を受け、俺は美桜の隣に座り込み、ダンボールを開ける。こんなにも美桜に近づいたのもいつぶりだろうか。少し横目で彼女を見てみる。相変わらず、整った横顔をそこら辺のアイドルや女優にも引けを取らないくらいだ。幼馴染ながら、誰しも綺麗と言うだろう。やっぱり、美桜は変わらないーーあ、


見惚れていたら、美桜がこっちに気付き、目が合ってしまった。や、やばい…また引かれる…


「な、なに?…」


こっち見んな、みたいな事を言われると思ったが、美桜は普段見せないような顔を向けてきた。目が合った瞬間、目を逸らし、頬も少し赤い気がする。


「あ、ご、ごめん。なんでもない」


美桜の意外な反応に戸惑い、下手な誤魔化しをしてしまった。急いで俺も目を逸らし、ダンボールに手を突っ込む。


ん?なんだ、この柔らかいもは?服か? 手に触れた、物を確認するためにそれを取り出す。



「うん?……?あっ…。………!!」


こ、これは……!?凄く柔らかい生地で服かと思ったがこれは……パンツ。薄いピンク色の花の模様が入っていて、少し、透けている。


「どうしたーーッ!!」


「ちょ、ちょっとそれは!」

「ご、ごめん!わざとじゃなーーわぁ!」


バタン、ゴン



「いたた…何があったーーって…!」


一瞬の出来事で何が起こったか分からなかったが、多分、美桜がパンツを取り返そうとして、足を躓いて俺に倒れかかったのだろう。そこまだ分かる。だが、なぜこうなった!?


なぜ俺が美桜の上にいる!まるで俺が美桜を押し倒したみたいじゃないか!そして、顔が近い!この距離での美桜はやばいって!めっちゃ良い匂いするし、美桜めちゃくちゃ可愛い。


「ど、どいて…は、恥ずかしい…」


美桜はいつもの無表情が嘘みたいに消え、顔はトマトのように赤く、少し涙ぐんでいる。そ、それはそれでちょっとエロいが、ダメだ。


俺は慌てて、美桜の上からどいた。


「ほ、本当にごめん!」

「別に大丈夫。後はやっぱり自分でやるから良いよ。そんな残ってないし」

「わ、分かった」


そう言い、俺は美桜の部屋を出た。出る直前、美桜はいつの無表情だったが、耳がほのかに赤かった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ