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輝け!弱小KM高校ラグビー部  作者: 四方山林
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最初の新人戦

 初秋に行われる新人戦は1・2年生が主体となる大会で3年生は出場できない。


 新人戦と銘打ってはいても他校はメンバーのほとんどが2年生で構成され、1年生がレギュラーで出場するのは珍しいことだった。


 そんな大会が近づく中、部員が1チームに満たないKM高校ラグビー部は練習試合もままならず出場すら危ぶまれる状態だった。


 元ラグビー部だったというサッカー部の2年生を助っ人に借りることでなんとか出場できることにはなったが、それはただ出場できるというだけに過ぎない。


 2年生の5人はともかく素人に毛が生えた程度の1年生9人と助っ人1人を加えただけのチームが勝てるほどラグビーは甘くない。


 この大会で私は4番ロックというポジションで出場することになったがラグビーの厳しさを嫌というほど味わうことになった。

 


 ロックというポジションはスクラムの2列目のポジションだ。


 役割はスクラムで最前列を支えたり、ラインアウトでボールをキャッチしたりすることが多い。

 もちろん他のフォーワード同様に味方のフォローもする。


 フランカーやナンバーエイトが第一陣のフォローだとすれば第2陣や第3陣のフォローをするのがロックだ。


 ワールドカップの中継では倒れた味方に取りつく相手をはじき出し、相手がボールに絡むのを防ぐ姿をよく見る。


 もともとフランカーだった私は藤田の後を引き継ぐ形でこのポジションになったのだった。



 I県のラグビー大会は前大会の成績が引き継がれる。

 つまりKM高校ラグビー部は3年の先輩たちが守り抜いた県内最上位のAブロックでの参加となるのだ。

 普通ならば誇らしいはずのこの成績が、私たちにとって最悪の状況を生み出す。


 実力的にはCブロックの下位にある私たちはAブロックとの格の違いをまざまざと思い知らされることになった。


 スクラムは全く安定せずモールで押し込まれるフォワード。防御ラインが乱れて次々に突破されるバックス。


 個人のフィジカルが劣っているのは否めないが、なによりもひとつひとつのプレーに繋がりがなく、スクラムもタックルも型通りで練習と同じ動きしか出来ていない。


 本来ならプレーには流れがあって状況に応じタックルをしたり、ジャッカルを狙ったり、或いは攻撃ラインに参加したりとボールを次のプレーに繋ぐ判断をしなけれはならない。


 しかし、素人だった私は練習した通りの行動を繰り返すだけで、どんなプレーが次に繋がるか、どうすればトライに繋がるか全くイメージできていなかった。


 おそらく他の1年生も皆同じような状態だったのではないだろうか?


 結果は推して知るべし。


 初戦:78対0 敗退

 

 1回戦の敗者戦:54:0 敗退


 Bブロック優勝チームとの入れ替え戦:64対0 敗退 Bブロックへ転落


 どの試合も良いところはなく、まさに手も足もでないとはこのことだった。



 その後に行われた花園予選大会は3年生の有志4人が参加することで欠場を免れた。

 しかし、初戦で敗退。


 ラグビーに特段思い入れのなかった私のモチベーションは最低に落ちていった。

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