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輝け!弱小KM高校ラグビー部  作者: 四方山林
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最初の高総体

 初夏に行われる高校総合体育大会(高総体)は3年生にとっての集大成。


 進学希望者が多いKM高校では初冬に行われる花園予選大会は受験の追い込み時期と重なるため、この大会が事実上の引退試合でもあった。


 他県はわからないがI県の高校ラグビーはA、B、Cの3ブロック制。

 サッカーのJリーグに例えるなら1次リーグと2次リーグのようなもので、下位のブロックに所属するチームは自身のブロックで優勝し、さらに上位のブロックの敗者と入れ替え戦を戦って勝たなければ、上位のブロックに昇格できないルールとなっていた。


 KM高校はAブロック。

 つまり県下の頂点を決める最上位ブロックに所属していた。


 私自身はリザーブで出場の可能性は低かったが、もし決勝戦へ駒を進められれば全校応援も期待できる状況に興奮していた。

 しかし、くじ運悪く初戦は優勝候補の一角と言われるMK高校に決まり、初戦突破は厳しい状況に陥る。


 試合は序盤から自陣に押し込まれる苦しい展開が続いた。

 フォワードが押し負け安定した防衛ラインが構築できないためだった。


 ラグビーのオフサイドラインはボールの位置で決まる。(ボールを蹴った場合は蹴った人がオフサイドライン)


 このためボールより前にいる選手はオフサイドとなるためプレーに参加することが出来ず、参加するためには一度ボールより後ろまで戻らなければならない。


 ラック(タックルされた選手が倒されてボールを取り合う状態)やモール(突進した選手やタックルされた選手が立ったままボールを取り合う状態)で選手が密集してもボールを境にきれいに敵味方に分かれるのはこのためだ。


 フォワードが押し負けるということはボールが徐々に自陣に動くことになり、ボールの位置に合わせて味方は防衛ラインを下げなければならない。


 しかし、防衛ラインを下げるということはタックルへの走り出しが遅れたり防衛ラインが凹凸になったりして突破を許す原因になる。


 相手フォワードからプレッシャーがかかる中、必死に防衛するも及ばず、遂にトライを奪われたKM高校は集中力が途切れ失点を重ねることになった。


 終わってみれば31対7と意地で1トライ返したものの5トライを奪われての敗戦となった。


 1回戦敗退となったKM高校ラグビー部は1回戦の敗者どうしの試合には勝利し、Bブロックへの転落は免れるも悔しい結果となったのだった。



 高総体のあと3年生は引退し偶に指導に来るだけになった。

 しかし、3年生の引退は大きな問題となってKM高校ラグビー部に圧し掛かることになる。


 理由は2年生の部員が5人しかいないことだった。


 ラグビーは15人が1チーム。

 2年生が5人しかいないとなれば残りは1年生の10人が埋めることになる。


 つまり素人同然の1年生がチームの多数を占めることになったのだ。


 少々強引な勧誘活動はこれを見越したものであり、部を存続させるギリギリのラインが1年生の入部10人だったのである。

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