Bブロック決勝戦
決勝戦は静かな立ち上がりとなった。
スクラムでは優位にたっていたもののM高校の固いディフェンスに阻まれ、中々トライまで持ち込めず両者無得点で時間が進む。
前半終盤で相手のファールからペナルティーゴールを決め3点リードで後半戦へ折り返すも全く油断できない状況である。
「後半は必ず足に来る。俺たちの練習量は伊達じゃない。必ずチャンスが来るぞ」
キャプテンの佐藤が円陣で声を掛け皆が雄叫びで返し後半戦がスタートした。
この時監督は全力を尽くせと短く言うだけで特に指示はなかった。
これはラグビー特有のことかもしれない。
後半戦。
序盤は前半戦と同様の展開が続く。
KM高校が攻めM高校が守りカウンターを狙っていく。
しかし中盤になると体力がなくなってきたためか両陣営ともに陣地稼ぎの安易なキックが増え始めた。
確かにキックは大きく陣地を回復する手段として有効だ。
しかし攻撃権を相手に渡す行為でもありカウンターを招く危険が伴う。
これは危険な兆候だった。
そうした状況の中で私たちは敵陣22mライン内側のラインアウトからモールで前進し、最後はセンター堀田の突破によってトライを奪うことに成功する。
佐藤のコンバージョンも決まり10対0とM高校を突き放した。
ところがここからM高校の反撃が始まる。
序盤に戻ったかのような連続攻撃を受けたKM高校は自陣に攻め込まれたところで堪らずキックで外に蹴り出した。
しかし、M高校はクイックスタートからのカウンターで防衛ラインの整っていない隙を強襲。
ウイングに突破され独走状態となる。
私たちも必死で止めに行ったが及ばずトライを奪われ5点差に詰め寄られたのだった。
コンバージョンも決まって10対7の3点差に戻されてしまう。
だが反撃もここまで。
ここからは私たちKM高校の独壇場となる。
私たちはまだまだ動けたのだ。
中央のスクラムから早いパス回しでウイング今井が突破を試み、倒された今井をセンター水野、フランカー水谷、ナンバーエイト佐々木がきっちりフォロー。
素早いボール出しから2度、3度と連続攻撃をすると遂に崩れた防衛ラインからセンター笹原が突破。
右端に飛び込んで追加トライを奪った。
コンバージョンは外れたが15対7とM高校を突き放す。
さらに仕切り直しの相手ドロップキック直後。
モールで前進した私たちを抑えるため集まったM高校フォワードの隙をついてナンバーエイト藤田が抜け出し独走。
相手ウイングを払い除け中央に駄目押しトライを決めた。
コンバージョンも決まり22対7。
このまま試合は終了し私たちはBブロック優勝を果たしたのだった。
因みに全校応援については学校側から許可が下りず、実現できなかったようだ。




