表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝け!弱小KM高校ラグビー部  作者: 四方山林
15/22

集大成の高総体

 ゴールデンウィークが過ぎて弛緩した空気が締まってきた頃、今年も高総体の時期がやって来た。


 高総体に向けて準備をしていた私たちに驚くべき知らせが届いたのはおよそ2週間前。


 高総体の会場に普段私たちが練習しているグラウンドを含めた周辺のグラウンドが選ばれたという知らせだった。


 今までは大会会場に泊りがけで遠征していたが今大会は普段から使い慣れているグラウンドで試合を行うことができる。


 運営補助として新入部員たちがグラウンド整備やボールボーイとして働くことになってしまったのはご愛敬。

 


 この高総体で私たちが掲げた目標はもちろんBブロック優勝。

 そして入れ替え戦にも勝利しAブロックに返り咲くことだ。


 新人戦の時と違い今大会は怪我もなく万全の状態で臨める。

 私のポジションは新人戦の時と同じ2番フッカーだ。



 高総体BブロックはCブロックと同じくAとBの2つのトーナメントで行われ、それぞれの優勝チームがAブロックの敗者と入れ替え戦を行うという流れになっている。

 入れ替え戦も含めて全4試合に勝利すれば晴れてAブロックへ昇格できるわけだ。



 高総体の組み合わせでキャプテンの佐藤が引いたくじはトーナメントAの3だった。


 くじ運としては良い方でトーナメントAで当たるチームで警戒が必要なのは決勝で当たるだろうM高校ラグビー部だけだ。


 むろんどの試合でも手抜きはしない。


 Cブロックから上がったばかりのKM高校ラグビー部はどこにも警戒されていないが、私たちは必ず優勝してみせる。


 こうして3度目の高総体が幕を開けた。

 


 初戦。


 審判の笛の音が鳴りスタンドオフ園田のドロップキックで試合が始まった。


 フィジカルで優位に立つ私たちは安定したスクラムやモールで起点を作り練習してきたサインプレーを確実に決めていく。


 センター笹原のクロス、フルバック佐藤の攻撃ライン参加、飛ばしてウイング吉田のラン。ペナルティキックを確実に決めるスタンドオフ園田。

 そしてどのプレーにも身を挺して献身したフォワード陣。

 2度、3度と連続した攻撃で相手防御ラインを崩し私たちはトライを重ねていった。



 周囲の予想はともかく私たちは初戦、2回戦を危な気なく勝利し決勝戦に駒を進める。


 そして決勝戦。

 相手は予想通りM高校ラグビー部だった。


 M高校ラグビー部は元々Aブロックに所属していた強豪校で最近は中々Aブロックに昇格できていないもののK高校と並んでBブロックの優勝候補筆頭とも言える存在である。


 試合前、私は伝説のラグビードラマ"スクール○ォーズ”の主題歌”ヒー○ー”のCDを持ち込み試合前にイヤホンで聴いて闘志を高める。


 それを知ったチームメイトたちは「俺にも聴かせろ」と言い始め最後はみんなにイヤホンを回し、口ずさみながら試合会場に向かった。



 私たちは知らなかったのだが、この頃、隣接する母校で小さな騒動が起きていた。


 我が校のラグビー部がすぐそこのグラウンドで決勝戦に挑もうとしているのになぜ応援にいかないのか! 


 その声は次第に広がりを見せ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ