プロローグ
突然だがみんなはどのくらい記憶力がある?僕は生まれてからのすべてを覚えている。
まれにみる完全記憶HSAMやサヴァン症候群と呼ばれるものとは違い、一度視界に入れたものをすべて記憶している。
そんなに覚えていても思い出すことができないのではないか?と思う人がいると思う。それについては時間というものを理解、考えられるようになったころに、正確に時間を思い出すことができるように頑張ったから大丈夫だ。
どういうことか説明すると、今日寝たのが2:31で、起きたときに5時間43分寝たということ思い出し、いま8:12という遅刻しそうな時間だということが分かる、といった感じだ。
誰もいない家で急いでしたくをして、(準備するものとは言ってもシャーペン付きのボールペン一本と財布とケータイくらいしかない)制服に着替え、急いで自転車に飛びつき、家を飛び出したところでトラックにひかれ、気が付くと僕は異世界にいた。
なんていつものようにファンタジーなことを考えながら、僕―遊馬 帝史は学校にむかう。8:30からのHRに間に合うくらいのスピードで自転車をこぐ。
予鈴が鳴るころに靴を履き替え、おしゃべりや携帯をいじったりして騒然としているはずの教室に向かうが、学校中が妙に静かだ。これはなにかあったなと思いながら、はやる気持ちを抑えきれずに少し早足になる。そして話し声どころか物音が聞こえない自分の教室に入った。
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「たいし、何してる?早く席につけー」
スーツ姿の担任どころか学校の教師ですらない(先週の金曜日の段階で)知らない20歳くらいのイケメンが教卓の上に腰かけたまま話しかけてきた。
みんな座っており気恥ずかしいとおもい、誰?といった疑問を口に出すことなく席に着いた。
「よし、全員揃ったな。これよりお前たちは異世界に行ってもらう。もちろん全校生徒だ。」
「「?????」」
みんなが疑問に満ちた表情を浮かべる。
「ちなみに質問はなしだ、といっても自分の意志で声は出せなくしているがな。まずは自己紹介をしようか、私は神だ。」