初仕事 3
つむぎ達が通うこの緑山学園は、中等部の他に小等部と高等部がある設定です。(今のところ)
〇〇学園って、かっこよくて憧れます。笑
「明日から2学年学級委員会は『学内平和推進委員会』として活動してもらうことに決定した」
「はあああああ!?!?」
「ま、いいんじゃね」あっさりと言う南を将一は睨んだ。南の顔がひきつる。
「こうなったのも学級委員会の存在意義が感じられなくなったからだ。緑山学園は生徒が自主的に学校をより良くしようとしている。それは良いが、おかげで学級委員が暇をしているように見えるんだ」
「暇なんかしていない!!」
「実際に結果として出ているじゃないか。先月の授業評価でどのクラスも1年に負けているだろ」
「...それは」痛いところを突かれたようで、汐梨の表情が固くなった。
「でも、学級委員会を無くすのは違うんじゃない?いくらなんでも急だよ」
「私もそう思う...。この委員会で集まるのとか好きだったし」
「俺もそうだったかも」
「そりゃ俺だって...小学生の頃からやってるし」
しんみりとした雰囲気が漂う。
(...いや、私だけ場違い感半端ない)
そんな4人を見た京之嶺が、呆れ顔で口を開いた。
「別に名前が変わって、少しだけやることが変わるだけだ。メンバーは今まで通り君達でお願いしたい」
「そうなの!?」
「ああ」
「...まぁ、生徒会に決められるのは嫌だが、別の委員会としていられるなら」
「それでは、平和委員会の説明をするから聞いてくれ」
学内平和推進委員会は、学園を平和にすることを目的として、中等部の全学年を対象にトラブル解決を行う委員会だ。主な仕事は、専用の意見箱に提出された依頼の解決をすること。
説明を受けた次の日、朝礼で京之嶺が全校に向けて平和委員のことを伝えた。意見箱は昇降口に設置されるそうだ。
朝礼の後、教室へ戻る途中で後ろに並んでいたクラスの女子に肩を叩かれた。
「何か大変そうだね〜つむぎちゃん」
「え、何が?」
「だって急に学級委員にさせられて、そしたら平和委員に変わって、生徒の問題解決しなきゃなんて」
「うん、正直まだやることとかよく分かってないし」
「でも生徒の注目はめっちゃ集まってるから、忙しくなるかも」
「そうなの?全然興味無いと思ってた」
「えっ、昨日の朝やばかったじゃん。昇降口に人が溜まってて」
(...そういえば)
汐梨に連れられる前、昇降口の辺りは通常では考えられないほどの生徒で溢れかえっていた。
「あれって、新聞部が学級委員の事を記事にして壁に貼ってたんだよ。見てなかったの?」
「うん...」
「そ、そっか。それに、つむぎちゃんって生徒会とか学級委員について全然知らないのね」
「え、何かあるの?」
「いや、あ、知らないならいいんだよ。じゃあね!」
教室に着いた途端、その子は離れてしまった。
(面倒くさいことに巻き込まれてるのかな...)
不安になっていると、横で声がした。
「ま、そんなこと気にしないでさ、つむぎちゃん。早速依頼が来たよ」
指で挟んだ小さい紙を振って、ウインクをしてくる。
「やっとデビューだね」