初仕事 2
「浅羽、くん...?」
「おい、浅羽そういうのセクハラだからな」
将一がやれやれといった表情で言う。南はそれを尻目につむぎに詰め寄り、覗き込んできた。
「つむぎちゃんて気になってたんだよな、普通の女の子と違って、俺の事なんか気にもとめないんだもん。」
南の目は見定めるようだった。綺麗な顔立ちと柔らかい言葉の裏に隠された、妖しいものがありそうで...
(薄々感じてはいたけど、結構な自信家なんだな)
「私...恋とかよくわからないの」
全力で演じてみた。
「それでは、生徒会から2学年の学級委員会に報告があります」
南が来てから数分後に、生徒会の1人が教室に来た。朝礼で見た事があったため、つむぎもその人が生徒会長の京之嶺藍羅だと分かった。
今学期から生徒会の世代が代わり、同学年の京之嶺が学校を指揮している。
ベリーショートの髪に、切れ長の突き刺すような瞳、冷酷な口調から「姐御」と呼ばれてたりする。
「京之嶺、お前の代になってから改革多くないか?生徒がついていけないぞ」
将一は不満そうな顔で言う。
「全てこの学園のためだ」
京之嶺は持っていたファイルから1枚の紙を取り出すと、将一に渡した。他の4人も(結局雫内君は呼ばなかった)将一の周りに集まる。
「...これは?」
「えっ.....?」
「『学級委員廃止企画?』」
紙を見た4人は、驚いた表情で目を見合わせる。
「えっ、まって、どういうこと?」
困惑する中で、京之嶺の低い声が教室中に響き渡った。
「明日から2学年学級委員会は『学内平和推進委員会』として活動してもらうことに決定した。」