プロローグ
初投稿です。まずは発端となる部分だけ書いてみました。
(.....なんでこうなるの!?)
私は、予想外にも程があるこの光景を見渡し、頬を引きつらせた。
黒板には学級委員選出の文字。毎回選ばれている男子の名前の隣は、空欄だった。前期に学級委員を務めていた女子が一学期の後半に転校したので、空欄なことはそれほど不思議ではない。
だが、である。
クラスで話し合う中で、なかなか立候補が出てこないことから、推薦の形をとることとなった。そして、なぜか私の名前が挙がったのだ。
推薦者の理由は、「頭がいいから」と言っていた。
いや、言わせてもらうけれど、私は頭良くないから!!推薦してくれてる人、あんまり話した事無いし、誰かと勘違いしてるとかじゃないの!?
...そこまで頭の中で吐いてあることに気付く。そう言えば、1番最近の社会のテストだけ、クラス1位取ったんだよな。...絶対にあのせいだ。
1人で落胆しているうちに、周りは既に私を新学級委員として受け入れ、それぞれ別の話題をざわざわと喋っている。
(もうやらないなんて言える状況じゃない...)
壁に掛かった時計を見る。6時間目が終わるまで、あと10分も無い。今日が委員決定の最終日と聞いていたし、ここで断ればクラスメイトからの印象がガタ落ちなのは確実だった。
「じゃあ、戸田さんお願いできる?」
担任が申し訳なさそうに聞いてくる。
(しょうがないなぁ...)
私は完璧な笑顔を作ると、透き通った声で全員に向けて言った。
「私じゃ力不足だと思いますけど、みんながどうしてもと言うなら...。学級委員として、これから精一杯頑張ってみます。」
私はこの学校の中で、上位を争うほど可愛い女の子。性格も評判が良い、誰が見たって完璧な美少女。
学級委員なんて正直面倒臭いんだけど、みんなの憧れでいるにはするしかないのよ。
戸田つむぎ、中学二年の出来事である。