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―第四話 ニュウガクシキー

ついにニュウガクシキの日がやってきた。

前日の夜、寝るに寝れなくて何度も目が覚めたからか、少し疲れが残っているように感じた。


「じゅんびはいろいろあったけれど…みんなにあえるならまあいいや…!」


ボクはそんなことを考えながら、早く会いたいばかりに急いで朝ごはんを食べ、式用の服を着てランドセルを背負った。


とうさん、かあさん、いもうともボクに続いて着々と準備が進み、家を出る時間になった。


《行ってきます》と力強く開けた玄関ドアからは、ふわっと春の風が吹いてきた。


ほんのりと桜と梅の香り。

そして暖かな風がボクに吹いてきた。


10分もすると、ボクが行く学校に着いた。

ボクは思わず、みんなに会いたいばかりに走り出した。


「まちなさい!!」

…あ、かあさんの声だ。


振り返るととうさん、かあさん、いもうとが

揃って門の辺りで手招きしている。


どうやら写真を撮りたかったようだ。

ボクは急いで3人の元へ戻り、記念撮影をした。


その後写真が撮れて満足したのか、よし行くよと、とうさんはいもうとを、かあさんはボクの手を引いて受付へと向かった。


受付につくと知らない6年生のおにいさんが「ごにゅうがくおめでとうございます」と言って、ボクの胸にコサージュを付けてくれた。


そして名簿一覧の場所に案内され、ボクのクラスを確認した。


まだ身長が小さくて名簿が見れないボクのために、かあさんが名簿を見てくれた。

たまたま目の前に2組の一覧があり、2組から確認し始めた。


…どうやら名前はないみたいだ。


1組を確認すると…顔が明るくなった。

ボクの名前があったみたいだ。


「にくみになまえがあったわよ!」


《1くみ》


ボクは1年1組か。

なんだかワクワクしてきた。


やっと会える。

また幼稚園の友達に会えるんだ。

同じクラスかな?違うクラスかな?


そんな気持ちを膨らませながら

突き当たり右の階段を登り、自分のクラスへと向かった。


ボクの先生になる人と思われる男の先生に

「はじめまして。よろしくね。」と声をかけられ、決まった席に案内された。


ボクは言われるがまま、その席に座る。

少し来る時間が早かったのか、まだ10人くらいしか来ていなかったけれど友達の姿は見当たらなかった。


《まだ来ないかな》


そう思いながら、

全員が揃うのを待っていた。


少しして担任の先生と思わしき男の人が、手を叩いて注意を向けさせた。


「はい!みなさん!はじめまして!

みんなのたんにんの『おかの』といいます!

よろしくおねがいします!

きょうからみなさんはこのしょうがっこうのいちねんせいです!」

と、元気に挨拶をした。


ボクはともだちに会いたかったので

挨拶にはあまり興味はなかったが…。


その後保護者は体育館へ、ボク達いちねんせいはクラスで簡単に式の練習をした。

担任の指示に従って動けばいいようだ。

「ごきりつください」と名前を呼ばれたら立ち、「ごちゃくせきください」で座り、「れい」でお辞儀をすれば良い。


簡単だ。


ニュウガクシキ開式。

ボク達いちねんせいはそれぞれのクラスの担任の先生の後を、クラスで隣の席になった子と手を繋ぎながら歩いた。


たくさんの拍手に包まれながら、ボク達は入場した。

あの時の拍手、まるでハンバーグを焼いているかのような音がしたな。不思議だ。


確か最初に暗い歌を歌った。

言葉の意味は分からなかったけど

とても暗い歌だった。

まだ小さいボクはそれぐらいしか

分からなかった。


「ごちゃくせきください」、その合図とともに保護者とボク達は座った。


次にみんなの名前がよばれた気がする。


1人ずつ名前が呼ばれ、その時に立ち「はい」と言って座るというもの。


ボクは名前が早かったことから、3番目4番目あたりで名前を呼ばれた。

「はい!」と元気よく返事をして座る。


ミスなく終えられたので、ボクはともだちの確認でもしようかと考え始めた。


次々に呼ばれるいちねんせい。

いつの間にか、1組の呼名は終わっていた。


「あれ?おかしいな…でも…」

2組に呼名が切り替わり、


1組に友達の名前が無かったということは

2組にいるのだ、そう考え直した。


2組が呼ばれ始める。

ひとりめ…ふたりめ…さんにんめ…順々に呼ばれていくがクラスの半分を過ぎてもなかなか友達の名前が呼ばれない。


「あれ…おかしいぞ…」


最後あたりに座っているのかもしれない、そう改めて考え直した。


嫌な予感と焦りがあったのを覚えている。

手汗が止まらなかった。

頼むから、誰か…誰か…いつの間にか

そう願い始めていた。




しばらくして2クラスの呼名が終わった。

それと同時にボクはやっとわかったんだ。


ボクはひとりだということ。

誰一人知らない世界での生活が始まる、

ということが。

次話投稿遅くなりました。


作者、大学準備とバイトの多忙な生活により、時間を見つけては少しづつ書いていました。


まだまだコメント、感想には至らないレベルですがよろしくお願いします。

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