廊下にて
「よーし、じゃあ今日は授業の前に転入生を紹介するぞ。」
担任が教室に入るや否や大声で皆に声をかける。
「まじ!?」「男の子?女の子?」
様々な声が飛び交うのが聞こえる。
教室の外には、転入生の少女と、遅刻した鷹通の姿があった。
「あ、あの、えっと、君が転校生?」
鷹通がギクシャクしながら少女に質問する。
が。
「ええ。そうよ。」
彼女は切って捨てるように答えて終わりだ。
目には明らかに怒りの色が見える。
「な、なんか・・・怒ってらっしゃる?」
鷹通がお伺いを立てると、堰を切ったように彼女は攻め立てる。
「あなたは!気付かれてないと思ってたかもしれないけど!小さな声で!!小さいって言ったの!!聞こえてたのよ!!」
流石に教室の中まで聞こえていたのか先生が飛び出してくる。
「なんだ、何があった?鷹通ぃ・・・お前遅刻した上いきなり転校生にヘンな事したんじゃないだろうなぁ?」
「い、いや俺何もしてないッスよ!何スかその目!!」
鷹通は身の潔白を証明しようとするが、少女に被せられる。
「私、あの人にちっちゃいって・・・私気にしてたのにちっちゃいって言われたんです・・・」
顔を真赤にして半泣きの様相で、少女は先生に泣きつく。
「鷹通・・・デリカシーなさすぎるぞ、お前・・・。」
先生は呆れながら鷹通にゲンコツを一発浴びせると、少女に振り返って言った。
「泣いてる所すまんが、自己紹介をしてもらわにゃならん。大丈夫か?」
少女は鼻をグズりながら頷くと教室の中に先生と共に入っていった。
「え・・・?俺は・・・?」
またも取り残される鷹通であった。、