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夢
「その『セカイ』が俺に何の用?」
なぜかこの純白空間にもある俺愛用のベッドのうえで、あぐらを組んで、小指で耳をかく。
「用?何だと思う?」
さも面白そうにニヤニヤ笑うセカイ。
「んなもん知るか」
「君が死んだことを告げに来たんだよ」
死んだ?いや、これは夢の中。現実には死んでない。死んではいないはず......。
「ていうのは冗談なんだけどね」
大爆笑するセカイを見て俺は心底イライラする。ベッドから降りて、セカイの方に向かおうとするとセカイは真顔になった。
「君は異世界にでも転生して人生をやり直したい」
セカイの気迫が俺の動きを止めた。そういやセカイは自分のことを俺自身と言っていた。なら俺の心中を知っていても不思議ではない。
「そんな君の願望と僕の目的が一致したわけだ」
言っていることのわけがわからない。いやわけがわからないのは当然だ。整合性がないのは当たり前。流動的で有が無となり無が有となる。それが夢。