異彩
「ここで受けれる一番難しい依頼を受けさせろ。」
そう聞こえてきた。稀にあるのだ。こういうことが。
「面白そうだから行ってみようぜ、な。」
そう言いながらレスターは入口の方に向かっていった。
まあ、興味はあるので私も向かうことにした。
「どうした?早くくれよ、はりー。」
「申し訳有りませんが、登録が済んでいないお客様はまだ依頼は受注できません。登録なさいますか?」
受付は呆れていた。
この程度のことなら世間知らずの坊ちゃんが稀に起こすのだが、入口が騒がしくなった理由は他にあった。
ロビーにたどり着いた二人は異様な光景を目にしていた。
言っていることはいつもの世間知らずのようだ。
なのに、
変だ。異様だ。見たことが無い。
この何か言っている男の服装はどこの地方のものだ?こんな特徴の服は全くもって見たことが無い。
ズボンが青色の、全くもって見たこと無いズボンだ。
上はこの時期に袖の短い服で、寒さ知らずなのか?しかも一枚しか着ていないようだ。
武器を所持していない事から魔導士と予測できる。または何も持たない、本当に何も知らないバカか。
まあさすがに前者だろう。
せめて前者であることを祈る。
それと女だ、先ほどから一言も話していないが、この男の後ろには異形の女がいる。
まず身長、この男よりも高く、なかなかここまで身長の高い女も珍しいものだ。
そこもそうなのだが、こいつの服装が問題だ。
なんじゃこりゃ、この一言に尽きる。
頭に白いよくわからないカチューシャみたいなものを頭につけていて、服装は白と黒のスカートとエプロンがが一体化したような見たこと無い服だ。
それに足に謎の黒い靴下?少し透けている、
とても長い靴下のような何かを履いている。
図体がでかい上、男より目立つ謎の格好、さらに一言も話さない有様で一際異彩を放っていた。
「登録なんてあるのか、じゃあ登録させてくれよ。」
「申し訳ございませんが、私ども組合としては冒険者登録を遠慮してもらいたいのですが。」
「それはどういうことです?」
ここでついに女が言葉を発した。
「申し訳ないですけど!受付としては!こういう人たちはたっくさん見てきてるんですよ!
わかります!?
あなた達みたいな世間知らずは登録させても
だいたいすぐ死ぬんですよ!なので!
死なないうちに回れ右して欲しいんですね!
こちらも人を死なせてしまうわけにはいかないので!」
受付が声を荒げると、男の後ろにいた女が見たことの無い何かをスカート?の中から取り出した。
と思った時には、受付の額に女が取り出した全く見たことの無い何かが当てられていた。
「お前、ばーばりあんの癖に調子にのるなよ、ケツジョウ様の手を煩わせるな、
「待て、止めろ。」
男は何か流石にマズイ状況だと思ったのか止めを宣言した。
「わかりました。」
女はすぐに受け入れると、謎の物体をスカートの中に速やかにしまった。
「おいおい、あの男の方があの女より上か?」
緊迫した空気の中小声でレスターは話しかけてきた。
「ああ、そのようだな。あの男に戦う実力があるとは思えんが...まあ見かけによらずとんでもなく強い間抜けなのかもしれないな。」
そんなことを話してのが聞こえていたのか、
「おいそこの話してる奴ら、この辺で一番強いモンスターはなんて奴でどこにいる?」
最悪だ。話しかけられた。できるだけこういう奴らとだけは関わりたくなかったが、会話の都合上仕方なかった。
「それを聞いてくるとは。いや、なんでもない。
ここのサガリアにはあんまり強いモンスターは生息し
「それならハイレンに行くといいぜ!きっととっても強いモンスターと出会えるはずだ!倒してみたらどうだ!ははは!」
人の話を遮ってきたのは昨日話したばかりの中級魔導士、カキナイだった。
「おいおい、少し
また遮られた。
「いいんだよ、ハイレンで頑張ってくればいいのさ。
てことで、ハイレンに行くといい。ハイレンは、ここの隣町だぜ。その周辺に強いモンスターがいるから、倒してみることだな。まあ、見ればわかるさ。ははは。」
「ほう、行ってみようじゃないか、登録がダメなら俺の実力を見せて驚愕させてやる。
後でどうせ登録させてくれとすがってくるんだ、待ってろよ雑魚達。」
「頑張れや、期待してるぜ。へっ。」
そう言われた男、ケツジョウは女を連れて外に出て行った。
「バーカ!武器みたいなの突き付けやがって!ここは戦闘禁止なんだよ!くたばれ!」
受付の機嫌は悪そうだった。
「カキナイ、新人いびりも少し調子に乗りすぎじゃないのか?恨みを買うぞ?」
ハイレンには現在モンスターなんていないのだ、謎の現象でゼリーが全滅してしまったのだから。
「いいのいいのよ、伊達に中級魔導士やってないわ。甘ちゃんには負けねーよ。」
「おいおい、大した自信だな、大丈夫なのか?カキナイ、だっけ?」
「ああ、そうだ。まあ、大丈夫さ。
流石にアレが上級魔導士クラスはないだろう。
もしそうだったらやってられねえよ。そうだろ?オドリバ。」
レスターは心配しているようだが、
カキナイならそんな心配はないだろう。
カキナイの実力は私も理解している。
私はレスターと別れ家に帰宅し、
ゼリーのことを少し考えながら
今日は勉強・研究はせずにさっさと睡眠をとることにした。
ケツジョウと呼ばれた男のこの先が楽しみだ。




