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「めりさんの正体は、父親の不倫相手……。」

 まさか、これが本来のメリーさんの電話?

こんなにも生々しい話が奥に潜んでいるなんて。

「不倫がどんなもんかは知らないわよ。まあよく言う割り切った大人の関係ってやつ?そう区切る事が出来る人なら良かったけど、めりさんはそれが出来なかった。そしてなんらかの事情で男に縁を切られてしまった。あの人との幸せを望んだのに、私はそうなれない。なのにあの人には幸せな家庭がある。憎々しく思っためりさんは直接攻撃を仕掛けるわけ。」

「男の家に電話しちゃうのね。」

「そ。で、もう一つ言うとね。実は女の子の両親もめりさんからの電話には何回か出てたのかもしれないよ。」

「え、じゃあ……。」

「でも、両親は気付いていない。親が出た時は無言を貫いたから。あくまで内容を伝えたのは少女だけ。」

「なんでそんな事。直接言っちゃえばどっちにしても復讐は果たせそうなのに。」

「そこが、さえちゃんがえぐいだなんて表現した理由よ。」

「るーの言う通り、そうすれば話は簡単だよ。でもめりさんはそれじゃ納得しなかった。めりさんは、わざわざ女の子にだけ自分の存在を知らせて、家庭を崩壊させる引き金を引かせたのよ。」 

 そんな。それはあまりにも、むごすぎないか。

だって少女には、何の罪もないじゃないか。それでもめりさんはそこまでしないと気が済まなかったのか。自分を捨てた男に対しての恨みを浄化するには。

「女の子から電話の話を聞いた両親がどう思ったか。特に父親は血の気が引いたでしょうね。あいつの仕業かって。まあ幸せな結果が待ってはいない事だけは間違いないよね。」

 これじゃ、もともとのメリーさんの話の方がましかもしれない。そんな気がしてきた。

「いやーなんとも後味悪い考えに至ったもんだね、あたしも。頭の出来が違うってのも考えもんだね。」

「ほんとだよ!あんたの話の方が色んな意味で怖いわよ!」

「いつもの調子で始めてまさかこんな展開になるだなんて、正直びっくりしたわ。」

「そんなに褒められたらまいっちゃいますなー。てへっ。」

「褒めてない!」

「まあでも、きれいな恋愛をするべきだね。不幸になる恋愛はよくないって事さ。」

 そんな強引な締めで小枝は場をまとめ始めた。でも確かに、こんな恋愛はあまりにも辛すぎる。大人の事情ってやつはかくも複雑でおどろおどろしいのかと思うと、このまま大人にならず学生でずっといられたらいいのにと流華は思った。

「そうよ。だからさえちゃんも次の恋愛を頑張るのよ。応援してるからね。」

「なっ、何よかすみん急に!あたし何も言ってないじゃん!」

「ふふっ。保健の先生は全てお見通しよ。いつでも相談のってあげるから。」

 あーでも、こんな香澄先生みたいな素敵な大人の女性にはなりたいなとも思い、やっぱり大人もいいかもと流華は思い直した。


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