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「うおーこわー!チキンスキンだわー!」

 小枝は両手で互いの二の腕を凄まじいスピードでさする。鳥肌が止まらないようだ。

「なんか、久々にちゃんと聞いたらすごく怖いですね、この話。」

「そうでしょ?終わり方が秀逸なのよね。あえてメリーの姿を描かない所で恐怖心を更に掻き立てる。憎らしい構成よね。思わず後ろを見たくなるのよね。」

 この話を初めて聞いた時、流華もおそるおそる後ろを振り向いた事を思い出す。何もいるはずがない。なのに何故か自分の後ろでメリーさんが不気味に微笑んでいる。そんな絵をイメージし勝手に恐怖に包まれていく。そして見る必要もない、最悪何かがいるかもしれない自分の後ろを振り向いてしまう。恐怖心と共に刺激された好奇心。奇しくも危険を訴える恐怖心よりも好奇心が勝ってしまうのだから、人の危機管理能力もいかがなものなのかと考えてしまう。

「まあでも確かに人形ってのはなんか捨てづらいよね。愛着があったものだけにいざ捨てるとなると、そこに思いが入り過ぎてるっていうか。」

「うん、分かる分かる。メリーさん以外でも結構人形系でそういう話多いしね。」

「そうよね。人の形って言うぐらいだし、もともと魂の入れ物としての扱いもあったものだからね。」

「なるほどねー。ただこの話については別の意図を感じるけどね、あたしは。」

「お、早速きたわね。聞かせてよ。あんたにはこの話がどう映ったのか。」

 小枝の顔がきりっと引き締まる。もはや彼女の頭の中に勇海君がいるとは思えないほどに良い表情をしている。本当に小枝は彼の事が好きだったのだろうかと疑問にすら思えてくる。

「なんか期待されてるみたいだけど、結構単純だよ。」

「いいのよ、それでも。あんたの頭は出来が違うんでしょ?」

「まあそうなんだけどねー。」

 そうおだてると、にんまりとまんざらでもない表情を小枝は浮かべた。おもしろいやつだなとこちらも顔を綻ばせていると、小枝はぽろっと結論を出した。

「やり切れない仕事愛が故ってとこかな。」


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