表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

シュベリーン前伯爵夫人

 兄の孫であるローエンナ公爵ウォルフガングから保護した少女の教育を任せたいと頼まれたとき、正直驚きました。

 ウォルフガングは、甥夫婦の事故死のあと15歳という若さで公爵位と騎士団長の地位を継いでおります。端整な顔立ちとその地位のため、令嬢達に追いかけ回された為か、女性を避けています。まあそのおかげで仕事に打ち込み、二十歳にして名実共に騎士団のトップとなったのですが。

 そのウォルフガングが保護したという少女に興味がわかなかったと言えば嘘になります。

 早速、了承の返事をしました。


 久し振りに顔を会わせたウォルフガングは、以前より余裕が感じられました。必死で公爵という仮面を被っていた少年が、今はもう立派な公爵です。亡き夫と共に成人まで後見した青年公爵の成長に、ほほが緩みます。

 それに、身元は証明出来ない、その言葉に裏があることはお互いわかっています。息子ばかりの長男の所に、話をしに行くことにしましょうか。エヴァが孫なんて、夢のよう。


 エヴァに付き添って、王妃にお会いしました。前の年に王太子を産んだ王妃は、大変可愛らしい方です。エヴァより十は上なのはずですが、並ぶと姉妹のようです。

 結果からいうと、エヴァは国王夫妻に大変気にいられました。


 宰相である長男に聞いたところ、国王はエヴァを従弟の横にたつ者として認めたのだそうです。その上で、15歳でのデビューを勧められたのだとか。

 表だって身分を明らかに出来ない上は、エヴァ個人の素晴らしさで、ウォルフガングの横にたつことを認めさせるということでしょう。


 この先、エヴァを攻撃してくる者もいるでしょう。私は、それに耐えられるようにエヴァを鍛え、その後ろで睨みを効かせましょう。

 私のかわいいエヴァ。貴女のために、まだまだ頑張らなくてはね。


 デビューは大成功でした。美しいだけでなく、あふれる知性、完璧なマナー。

 私のエヴァは、中身のない空っぽな娘達とは違います!誰にも文句は言わせません。

 何人かが、エヴァの出自について陰口をたたいたようですが、ウォルフガングの激昂に触れました。国王夫妻に、ウォルフガングと共に仕えるようと言われれば、もう誰も何も言えません。


 それにしても、ウォルフガングのにやけた顔ときたら。エヴァを片時も離さないし、ダンスもエヴァとだけ。そんなに牽制しなくてもいいでしょうに。呆れてしまいますわ。


 それからは、穏やかな日々が続きました。エヴァは知りませんが、長男の養女になる手続きは秘密利に済まされています。ウォルフガングは、エヴァの成人を待って婚約、結婚という流れで準備を進めているようです。

 まだ結婚しないのかとからかえば、もう少しと笑って返してきます。ウォルフガングは、エヴァが自分の結婚を心配していることを知っているのでしょうか?かわいいエヴァは、何よりウォルフガングの幸せを願っているのです。


 久し振りにエヴァが罵られたそうです。ちょっと厄介なご令嬢らしく、ウォルフガングも神経を尖らせています。

 令嬢は屋敷に閉じ込められたそうですが、心配です。


 ああ、何ていうことでしょう。エヴァが襲われそうになったなんて!それも王宮でだなんて。騎士団は何をしていたの!?ウォルフガングは!?最初は、それしか考えられませんでしたが、冷静になってくると、エヴァがバルコニーから飛び降りたことに気がつきました。

 エヴァにもお説教しましたが、案外けろっとしております。意外と豪胆なところがあったようです。


 ウォルフガングは、エヴァを失うかもという恐怖に我慢できなくなり、計画は前倒しにされました。

 明日は、二人の晴れの日です。天気にも恵まれそうでよかったこと。


 私のエヴァ。幸せに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ