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宮城にて  作者:
1/8

プロローグ

行き当たりばったりで至らぬところもあるかと思いますが、暫しお付き合いいただければ幸いです。

それは梅の花びらが散る頃、大学のサークルの4年生を送る追い出しコンパだった。


そこで出会ったロリータ好きの友人に触発されて購入したゴスロリのワンピースはコルセットを模したデザイン通りに身幅が狭く、飲み会にはとことん不向きだったようだ。


黒いリボンのついたカチューシャに、レースと大粒のクリスタルが縫い付けられた真っ黒のインナー、真っ黒のタイツに真っ黒のミュール。


染めたことのない髪を含めても完全な黒装束に籠めた気合いは半端なく、それはそのまま送り出す4年生への(はなむけ)である。


不慣れなミュールの踵の高さも相まって随分と不自由だったが周りへのインパクトは絶大で、大好きな4年生はもとより3年生や2年生にも口々にそのコーディネートを褒めてもらえた事実は何より謡子を喜ばせたのである。


るんるんと裾をはためかせながら帰宅し、ちょっと一休み…と横たわったソファーがまさか愛すべきこの世界との別れの場になるなどその時の謡子には思いもよらなかったのだ。



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