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僕だけ居場所のない家から逃げ出した先で見つけた僕の本当の居場所  作者: ムラタカ


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第8話  共依存でも




男はある少女の部屋にいた。

手に持つのは少女が毎日着る学校指定の制服だ。


「ふふ…やっぱり本物の学生服はいいなぁ…」


と頬を赤らめながらそんな事を言う。

ご推察の通りこの男は季空秋菜の義理の父親である男だ。

歳は50代前半くらいで身なりの良いスーツを纏っている。

普段の彼を知る者ならこんな事をしているとは夢にも思わないだろう。

数年前に結婚したが相手には子供がいてハズレを引いたと落胆したものだが蓋を開ければコレが中々に上物だ。

母親の方も美人だったからその血をひいた娘も美人なのは至極当たり前。

良い買い物をしたというのが男の本音だった。

最初は母親の方だけで我慢出来ていたが娘の方はいつまで立っても懐いて来なかった。

それどころか日増しに警戒心を強めていく始末。

彼のなかでは悲しみなんかよりも怒り…なにより欲望が強く露出していく事となった。



「良いだろう…君が僕をそういう目でみるなら望み通りにしてあげるよ…。」



それからは止まらなかった。

これまで我慢していた物を出し惜しみなどせず彼は自身の本能に従う獣と成り果てた。

50を目前に控えたババァのものより女子校生の体はどこまでも瑞々しい。

もはや我慢等出来る訳もなかった。

しかしそんな事を続けていてはやがて破綻する。

その結果妻に義娘との関係がバレた彼は冷や汗を流したが愚かにもあの妻は自分の娘より僕を信じたのだ。

愛とは時に人の目を曇らせる。

実に恐ろしい事だ。

これで僕はあの娘をこの檻に閉じ込めいつでも好きに味わう事が出来る訳だ。

正に妻様々だよ…。



「しかし遅い…何故帰って来ない…まさか…逃げた?」



どこに?

はは…ありえない。

あの子に帰る場所なんてない。

あの子はここに帰るしか無いのだ。

僕の…玩具として…



ガチャ…



「帰って来た!」



玄関から音が聞こえた。

あの子が帰って来たら驚かせてやろうと声を潜めていたかいがあったというものだ。

急いで玄関まで向かいドアを開け放つと誰かが急いでアパートの階段を駆け下りて行くのが見えた。



「酷いなぁ〜お父さんを前にして逃げ出すなんてさ!」



彼は逃げ出した存在を急いで追う。

彼に取ってこれはただの鬼ごっこだ。

逃げ切れない子供を追い回すだけの児戯。

彼は必死に階段を駆け下りる。

歳のせいか体力がなくすぐに息が上がってしまう。

すると階段を上がって来る存在が見えた。

一瞬義娘かと思ったが良くみると高校生くらいの少年だった。


「こ…こんばんわ…」


「えっ…ああ、こんばんわ…そう言えば君?」


「え?はい?」


「この辺りに女の子を見なかったかい?娘がまだ帰って無くてね」


「娘さんですか?娘さんかは分からないですけどそれならさっき凄いスピードで階段降りて行く子を見ましたけど?」


「そうか…ありがとう」



どうやらやはりあの娘はアパートから逃げ出したらしい。

愚かな物だ。

お金も無いのに何処に行こうというのか?

本当に愚かで可愛らしいウサギだ。







−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





「………。」



琢磨は階段を降りていく初老の男を見下ろしていた。

あの男が纏う空気…。

同じだ。

あのクソ義家族と…

人を玩具としか見ていない人間の皮を被った猿のそれだった。


琢磨は階段を登りそのまま自分の部屋へと入る。

そこには…



「アイツは…?」



季空秋菜がいた。



「大丈夫…アパートから出ていったっていったら信じて自分も出ていったよ。」


「そう…。」


「あれが秋菜…さんの義父か。」


「あら?さんとかいらないわよ?」


「流石にハードルが高すぎるからそこは多目に見て欲しいけどな」


「はぁ…しょーがないわね…それじゃ…そろそろ私は帰るわね…」


「え…?ちょ!待てよ!」


「どうしたの?」


「どうしたのじゃないだろ?またアイツが来るかも知れないのに…」


「その時はその時よ…生きるためなら何かを失う覚悟くらいしないとね…」


「でも…!」


「ありがとね?じゃ…」


「………。これからはウチで寝ればいい!」


「はあ!?」


「ここで寝たら良いって言ったんだ!」


「なっ何よ!貴方もしかして…」



秋菜は自分の体を守る様に自身の身を抱く。



「違う!ここなら安全だから…って言いたいだけだ…」


「……琢磨…貴方本当にお節介焼くのが好きよね?」


「そんなんじゃない…」


「まっ!貴方が良いなら遠慮しないわ…貴方の家…使わせてもらうから…。」


「ああ…そうしてくれ。……って何処行く気だよ!」



今の流れでも彼女は部屋から出て行こうとするのでその意味がわからず琢磨は聞き返してしまう。



「着替えを取りに行くのよ…流石にこのままじゃ嫌だしね」


「あ…ああ〜…そっか…そうですよね…」


「ふふ、何?もしかして私が帰っちゃうと思って寂しくなっちゃった?琢磨は甘えん坊さんね」


「うるせー!はやく取りに行け!」


「はいはい…」



秋菜はドアに備え付けてある除き穴越しに外の確認をし用心深く外に出る。

義父の姿は既に無くアパートの渡り廊下は静まり返っている。

恐る恐る自分の部屋に入ると見慣れた殺風景な間取り。

およそ女子校生が住んでるとは思えない空間だが一部秋菜の記憶と違う場所がある。

そこには壁掛けハンガーに掛けてある筈の制服がベッドの上に置いてあるという違いだけだが秋菜が不快感を持つには十分過ぎた。

ウゲっと声を思わず漏らす。

ロリコン趣味の変態ペド親父が…。

制服をゴミ箱に投げ捨て変えの物と着替えやら一式を用意して秋菜は直ぐ隣の部屋へ持って行くための簡易的な引っ越し作業に取り掛かる。


琢磨…。

私と似たような環境に生きる少年。

最も信じるべき身内から裏切られた孤独の中にある少年。

私の様に常に身の危険に迫られてる訳では無いがそれでも彼の置かれている立場が異常なのは私にだって解る。

アイツはそれを直感的に見抜いたから私を助けたのかも知れない…なんてわからないけど…それでも助け合って行こうと思ったんだ。

それが共依存でも構わない。

良いじゃないか…

頼るべき親にも見放された者同士。

依存って形でも…

助け合っていけたらいいなって私は思ったんだ。



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