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僕だけ居場所のない家から逃げ出した先で見つけた僕の本当の居場所  作者: ムラタカ


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第4話  祖父母の優しさ



「おっす」


「おう、おはよ」



朝の学校で挨拶してきたのは友人のタケルだ。

木下タケル。

高校に入ってから出来た友人で悩み事とかを聞いてくれている頼れる友人だ。

彼には父親とは死に別れた事や母親が再婚し、その息子達に俺が大切にしていた者達を取られた事等諸々話している。


そんな事を高校で知り合った友人程度に話すべきでは無いと思うかも知れないが当時の俺は精神的に随分参っていてそんな俺にズガズガと関わってくる彼の圧に押されて話してしまったのだ。


「お前みたいな良い奴がそんな目に合うのは俺としては納得いかないな!」


なんて言って合コンまで企画しようとしてくれた事には感謝しかない、今は彼女とかそんな気には当分なれないから心だけ受け取って実際には合コン企画は実行してないのだが彼のそんな心遣いには感謝しかない。


今の俺があるのは彼のお陰でと言って差し支えないのだ。



「どした?今日はいつにも増して酷い顔してんな?」


「え?や、そんなでもないけど?」


「そんなでもあるから言ってるんだが?」


「あ〜と、昨日バイトから帰ったらグロいもん見せられてな…」


「か〜、アイツ等また盛ってたのか、マジで猿だな、猿が人間の世界に押し寄せてくんなってな?」


「はは、だな。」


「つーかお前いい加減彼女とかつくらねーの?」


「前にも言ったろ?今はそんな気分じゃないって」


「う〜ん、でも新しい恋がお前にとっての救いになると俺は思う訳だけど?」


「う〜ん、まぁ…そのうちな」


「その気になったらいつでも言えよ?合コン開くからな!」


「はは」



もうなんかコイツがただ合コンやりたいだけな気がして来た。

でも良い奴なのは間違いない。

他人からいきなりこんな重い話を聞かされて普通なら嫌になるはずなのにコイツは今も俺の友達を続けてくれてるしパパラッチの真似事みたいな事もしてないから俺の事を知ってる奴も極限られてる。



「そう言えば近々お前の親父さんの命日だったか?」


「ああ、また墓参りに行くつもりだ。」


「なんなら一緒に行ってやろうか?」


「はぁ?いいよそんな気を使わなくて」


「そっか、まぁ爺さん達も来るだろうしな。」


「あぁ、まぁありがとな」


「おう」



友人の親の命日なんて知らないのが普通だと思うがコイツはこういう所も気が回る。

普段は悪ぶったりしてるが根がいい奴だから信頼出来るのだ。


友人との話で話題に出た親父の墓参り。

俺は親父の命日には毎年墓参りに行っている。

妹と母親が来なくなった親父の墓参りに。


そして親父側の爺さん達、つまり親父にとっての肉親達は当然毎年この墓参りに来ている。

俺の事を心配してくれる唯一の家族だ。

彼等は毎年墓参りに来るのが俺だけだと言う事実に寂しそうに眉を歪める。

ほんとうは妹の愛莉も来て欲しいと思っているのだろうがアイツは面倒だと行こうとしない。

それどころかそんなくだらない事に時間をついやすより蓮司君とよろしくやってる方が有意義なんだと。

蓮司とは例の義理親子の弟の方だ。

嫌味くさい兄と同じで俺の事を見下してくるまったく可愛げのないクソガキだ。

人の妹…だったメスザルと盛るのが趣味のオスザルだ。

見た目が美少年アイドル並に整ってることを自覚してか女に言い寄るのが兎に角上手い。

妹もその例にもれる事無く手籠めにされてこちらの言葉等聞く気も無いようだ。

結果あれ程慕っていた父親の命日より交尾を優先するクソの出来上がりだ。

祖父母には申し訳ないが俺はもうあいつ等に墓参りに来てもらうつもりもないし当然声をかける事も無い。

俺にとって数少ない安心出来る祖父母との時間が汚されるからな…。



そして今日はそんな親子の墓参りの日 

俺の隣には喪服に身を包んだ祖父母。

開口一番妹がいない事にやはり悲しそうな表情をしたが俺がごめんと一言言うと祖父母は良いんだよ、コッチこそごめんねと謝ってきた。


目の前には父親の墓石、線香からゆらゆらと煙が立ち上がっている。



「琢磨本当にウチに来る気はないのかい?私達はいつでも待ってるよ?」


「ありがとうばあちゃん、でも決めた事なんだ。」


「そうかい、でも辛くなったらいつでもいいな、アンタは誠太…アンタのお父さんが私達に残してくれた唯一の宝物なんだ。」


「そうだ。我慢する事はない。人は辛い時に辛いと言う事ができる生き物なんだからな、その特権をいかせよ琢磨。」


「ありがとう…じいさん、ばあちゃん。」


「ワシ達に出来る事は精々お前に手を差し向ける事しか出来ない。お前の未来はお前自身の物だからな、好きな様にすると良い。ワシ等はそれを応援するだけだ。」


「うん、俺あの家を出て1人でやれるだけやってみるよ、その準備も進めて来た、今まで面倒見てくれてありがと、じいさんばあちゃん。」



俺はあの家を出て一人暮らしする。

飯作りや洗濯に掃除もそれなりに熟してきた。

勿論そんなに簡単なことでは無いと理解している。

しかし耐えられないのだ。

あの動物屋敷にコレ以上いるのが。

あの獣共は俺を負け犬と笑うだろう。

だが獣の言う事なんていちいち構ってられない。

もう決めたのだから。

本当は自分だけの力でどうにかしたかったが祖父母は一人暮らしの代金を半分肩代わりしてくれたり安いアパート探しを手伝ってくれたりと結局助けられてばかりだ。

だからちゃんと成人し独り立ち出来たら祖父母孝行したいと考えている。


今までは尊敬していた父さんが残してくれた家族を大切にしたいという思いからあいつ等といるのも我慢出来た。しかしあの義理親子が来てから全てめちゃくちゃだ。

あいつ等は性欲で物事を決する。

あんなのが家族であってたまるか!

たとえ馬鹿にされても構わない。

後ろ指を指したいならさせばいい。


俺はあの家から逃げ出す。


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