第13話 影
僕には義理の娘がいる。
実に腹立たしい事だが義理の娘、秋菜は僕を完全に獣とかそういう物として警戒している。
妻に秋菜との関係がバレた時は冷や汗を流したモノだが咄嗟に出た言い訳をあの女は信じた。
実の娘ではなく僕の言葉を信じたのだ。
内心ではコイツまじかよと思いながら助かったと安堵の気持ちでいっぱいだった。
哀れにも妻の中では秋菜は自分の旦那を寝取ろうとした悪魔のような存在に成り下がった。
親子の縁を切るとまで言わしめた彼女の決意は固く勘当するとまで言い出した。
これはマズイ!
そう思った僕は彼女にしばらく一人暮らしを言い渡しその間に反省する事を条件に妻に彼女を許してやって欲しいという話をし妻もそれに同意した。
しかしこれは裏を返せば妻の目を気にせず秋菜に接触出来る環境を図らずも作り上げる事が出来た事となる。
僕は歓喜した。
それはそうだろう。
妻は僕を完全に信頼しているしまさか秋菜が一人暮らしするアパートに定期的に向かっているなど想像だにしないだろう。
僕はいつでも秋菜の体を味わう事の出来る天国とも言える場所を手に入れたのだ!
僕とて最初からこんな事をするつもりは無かった。
妻と義理の娘とで家族となりそのうちに妻との間に二人程の子供を作り秋菜に妹なり弟を作ろう程度の事しか考えていなかったんだ。
でもアイツは僕を父親とは…家族とは絶対にみとめてはくれない。
常に警戒し敵意に満ちた目をコチラに向けた。
そっちがその気なら父親なんてやってやる義理など無いだろう?
それにあの娘は女として綺麗過ぎた。
女として魅力的過ぎた。
別に極端に胸が大きいだとか尻がデカいだとかはない。
ただ色気があった。
男を魅了する何かがあの娘にはあった。
そんなモノを僕の前でさらしてあんな敵意を向けられて何故父親なんてやらなくてはならない?
全てあの娘の自業自得だ。
だから僕は本能に従う事にしたんだ。
しかし上手くいかない。
アパートに行っても秋菜かいないのだ。
僕は基本的に残業はしない主義だ。
あんなのは無能が自らの不始末の帳尻を合わせるためにやっている無価値で生産性のない行いだ。
定時の内に定められたノルマを定められた内に熟せば残業なんてする必要はない。
だから僕はいつも定時帰りだ。
周りの無能共がこちらを睨んで来るがそれはお前達が無能だから仕方ない。
全ては自業自得の一言に尽きる。
僕は定時退社というメリットを最大限にいかしあらゆる時間帯を秋菜が住むアパートへ行く時間にあてた。
しかしいつ行ってもアイツはいない。
部屋にいた痕跡はある。
だから帰ってきていないなんて事はない。
しかし僕が行く時だけ狙いすました様にいない。
巧妙に僕が行く時だけ隠れているようだ。
勿論部屋の隅々まで探した。
あんな狭い空間に隠れられる場所なんて無い。
だから僕は部屋の隅々まで探したんだ。
勿論秋菜はいない。
何処にもいない。
いったい何処にいる!
あの娘は交友関係が狭い。
友達が少ないのは既に把握している。
だから友達の家を渡り歩くなんて出きない。
お金だって最低限しか渡していない。
何処かに寝泊まりなんてしていたら一週間と持たずに底をつくだろう。
なら何故いない。
とそこまで考えてある可能性に行き当たった。
秋菜は男を引きつける天性の美貌を持っている。
もし秋菜に言い寄られたなら大抵の男は2つ返事で部屋に招き入れるだろう…。
無論その場で押し倒すのは当然の流れだ。
男ならソレが当然で当たり前の行動だろう。
つまり…。
「巫山戯るなよ!コレでは僕は道化じゃないか!こんな部屋まで用意して何故アイツは僕を徹底的に避けるんだ!どこのダレかも分からない奴が秋菜を抱いてるとかありえないぞ!!」
結婚して秋菜という義理の娘を得た。
妻も女としては絶世の美人だが若さには劣る。
最初は妻で満足していたが秋菜に出会ってしまえばもう我慢なんてできるものか!
それでも我慢していた時期だってあった。
それを何処の誰かもわからない奴が掠め取っただと?
僕の物だったはすだ!
妻もあの娘も全て僕が独占する権利を持っていた筈だ!
なのに!なのに!なのに!!
「クソ!あの小娘!毎日何処に行ってやがる!今日もいやがらねぇ!クソクソ!これじゃ高い金払ってこんな部屋借りてる意味がないじゃないかクソ!」
思う様に事が運ばない。
この部屋にあの娘を閉じ込めれば好き放題出来ると思っていたのに!
何もかも上手くいかない!!
男は子供の様に駄々をこね癇癪を起こす。
娘の部屋の物に当たり散らし暴れまわる。
その姿は達観した大人からは到底かけ離れたモノで彼が毛嫌いする稚拙な餓鬼そのものだった。
暴れ疲れた彼はハァハァと息を荒げながらよたよたと部屋を後にした。
お目当てのモノが手に入らないのにこんな所にいても意味はない。
余り遅いと妻に不審がられる。
あの愚かな女は僕を信頼しているがいつこの嘘がバレるかもわからない。
用心に越したことは無いだろう。
しかし男は性懲りも無く秋菜に固執し執着する。
その日の深夜。外は完全に闇が支配し普通なら皆誰もが寝静まる程の真夜中。
時間にして3時。
妻もくーくーと寝息を立てているのを確認して男はそっと寝具から這い出て夫婦の寝室を後にする。
外は予想外に冷え込んでいる。
当然だ。
真冬の深夜など寒くて当たり前。
本能がもういいから戻って温かい布団に潜ろうと訴えてくるが男はそんな甘美な欲求も跳ね除け車を走らせる。
向かう先は当然例のアパートだ。
いる可能性は極端に低い。
と言うよりいない可能性の方が高いだろう。
それでも男は駄目で元々の精神でアパートに向かう。
もう我慢など出来なかった。
老いたババアの体ではない。
若い本物の女体を求めて止まない。
あの人をケダモノとみなしたナマイキな目を涙でめちゃくちゃにしてやりたい!
めちゃくちゃに犯してやりたい。
何処の誰かも知らない奴に好きな様にされるならせめてこの僕が可愛がってやる!!
そんな一方的な衝動だけで男はなんの計画性もない行動にでていた。
この有り様を見れば誰だって彼をこう表現するだろう。
ケダモノと。
だから間違ってなんてないのだ。
彼の中で作り上げられた秋菜の評価は。
「ふひひ…付いたよ〜秋菜…ふふ、今僕がいくよ…ふふひっ!」
アパートのガレージに車を停車させた義父はそのまま早歩きでアパートに向かいエレベーターのボタンを無駄に連打する
そしてエレベーターに乗りこみ荒い息を吐く。
目は血走っていて正気は遠に捨て去った様に見える。
秋菜の部屋にたどり着いた彼は鍵を鍵穴に通す。
なんの問題もなく部屋の中に何時ものように侵入した彼は静かに電気をつけずに進む。
目的の場所は勿論秋菜の寝室。
ゆっくり…ゆっくりと寝室に入室した彼は歓喜する。
いつもはカラのベッドの上にはあきらかな膨らみがある。
膨らみは規則的に寝息を立てている。
明らかに人がそこに寝ている。
男はもう一度歓喜した。
来てみるモノだ!
ようやくこの日にたどり着いた!
ようやく…ようやくだ!
男はベッドに飛びついた。
所謂ル◯ンダイブだ。
それからはガムシャラに布団の膨らみを弄った。
抵抗されるが気にしない。
むしろ男の欲望を刺激する良い味付けとなる。
最高潮に男のボルテージは上がる。
何もまだ始まっていないのに男は絶頂しそうになる。
その時だった。
「凄いなおっさん…相手が男でもお構い無しか?性欲半端なさすぎだろ。」
ベッドによこたわる布団の中の膨らみから声が聞こえる。
それは秋菜の……女のものでは無かった。
男の……、あどけなさが残る少年の声だった。
「は?」
電気もつけず暗闇に支配された義理の娘の寝室に置かれたベッドから出てきたのは少年の影だった




