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Scene#7 習志野駐屯地

 レンジャー養成課程は、空挺教育隊の空挺レンジャーに限らず、最初は体力調整、つまり基礎体力の強化から始まる。

「お前ぇの根性、そんな程度かァ!」

 悪役レスラーか肉食獣のごとき表情で角田治の耳元で絶叫したのは、空挺団から空挺教育隊の支援に来ている大林一曹である。

 治にとっては特科大隊の先輩陸曹であるが、同時に「デーモン大林」あるいは「特科のコブラ」と呼ばれて恐れられている要注意人物でもある。

 その昔は、飲みに出た夜の千葉市街で、絡んできたヤクザを逆に締め上げて、組の金バッジを取り上げたという武勇伝を有している。

 要するに、腕力プラス強面なのである。

 なお、彼が陸曹候補生の時、富士山麓の東富士演習場でたっぷり鍛えてくれた陸曹教育隊助教が治の父、当時の二曹角田慶次郎だったので、その息子に少々「恩返し」をしてくれるという本音が見え隠れしていた。

 治が最初に大隊に配置になった時、大林一曹は、初対面で「おい、おめえ、カクケイの息子だってな?」と、因縁ありげな挨拶をしてくれたのだった。

「レンジャー!」

 なにをいわれても、学生にはこの答えしか許されていない。

 かがみ跳躍という、小銃を両手で頭上に支え、両足を交互に前に出し、跳び上がるのである。

 営庭では二けたの訓練生たちが治と同様のかがみ跳躍で絞られていた。

 既に顔面に汗が吹き出し、両目に流れ込んで痛みを加えている。

 既に体力を消耗した者も出ている状況だが、止めればより厳しい叱責にさらされる。

 浴びせるなかには、小松二曹も顔を連ねていた。

 ――なんでおれ、あんなこといっちまったんだろう……

 つい初恋の星華の前で、見栄を張った結果がこれだった。

 だが、もう引き返せなかった。

 宣言通り特殊作戦群に行くか、彼女を諦めるか、二者択一なのである。

 もっとも、宣言が実現したところで、星華が彼のものになる保証は、今のところ存在しないのだが。

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