転生
私は春風紗凪、普通の高校生だ。友達は多くもなく少なくもなく、運動能力は平凡、学力も平凡、目立つような立ち位置にいるわけでもなく、普通の高校生活を楽しんでいた。そんな平凡な私はある日、トラックに轢かれた。徐々に体温が抜けていく。力も入らない。痛みが来る間もなく私は死んだ。
目が覚めると私は見知らぬ天井が目に入った。白い天井…病院だろうか?だがあの状況から助かるとも思えない。私がベッドから身体を起こすと違和感を感じた。中に体が小さい。手も小さい。私は急いで立ち上がり近くにかけられている鏡に向かう。というかそもそもこの部屋自体も知らない場所だ。私は鏡を見て驚いた。鏡の中には紫の髪に紫色の瞳、顔は整っており、美少女といって差し支えないだろう。身長は150程度だろうか…私がそれに驚いていると部屋の扉がノックされる。
「望美様、失礼します」
そして扉を開き一人のメイドが入ってきました…メイド!?望美!?
「??どうかされましたか?」
「え…えっと、念のために聞きたいんだけど…私のフルネームって・・・」
「?佐倉望美様です」
やっぱりぃ!!佐倉望美…私はその名前を聞いたことがあった。
とあるサイトで投稿されていたWeb小説、星輝之日。この小説は主人公の女の子がファンタジーの世界で仲間と共に過ごしていく学園生活を描いたものだ。そしてその物語に登場するキャラクターの1人、佐倉望美は主人公と同年代にして第一章にて悪役令嬢として登場し主人公に倒される悪役である。星輝之日の望美は主人公に敗北後、学園を退学、家族にも見捨てられ、最後には魔族に襲われ死亡する。その死体はのちに主人公たちに発見されることとなる。
そんな悪役に転生してしまうなんて…いやもちろん異世界転生に夢見た経験はあるけど…よりにもよって佐倉望美なんて…でも確かこのキャラって…
星輝之日の作者は最終回投稿後に登場人物の詳細情報を投稿していた。その中には佐倉望美についてのものもあった。超がつくほどのファンだった私は全てのキャラの情報を読んでいたし記憶している。そして佐倉望美の設定はかなり凄いことになっていた。
『佐倉望美は幼少期に魔法の才能を開花させた。その力は最終章の主人公や仲間たちと比べても遜色のないほどだ。だがその才能に溺れた望美は徐々に力を失い始めた。それでも平均的に見れば上位で慢心は止まなかった。その慢心により家族は望美を見捨て始めていた。従者への当たりの強さ、家族への態度、周りを見下す姿勢、その他いろいろが重なっていたからである。その転機は学園に入った瞬間に訪れる。望美は主人公である■■■■を見た瞬間確信する。彼女が天才であることに。それに気づいた望美は■■の妨害をするようになった。それでもあきらめず鍛えた■■に望美は敗北してしまう。もし望美が慢心せずに鍛え続けていたのなら本作品中最強であったことでしょう。』
この記載からわかる通り星輝之日にて最強は望美と明記されている。つまり私が鍛えれば最強になれる才があるということ…
「頑張るか…」
そうして私の異世界生活が始まった。




