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第五話

おはようございます。第五話のお届けです。物語も佳境。お楽しみに!


「祭りの後、後の祭り」

      (第五話)


        堀川士朗



「マサはパチプロだからな」

「スロットだけどね」

「マサは怖いからな。良い台があると横から入って来てすぐ打とうとすんじゃん」

「え何それ何の例え?檜葉」

「別に」

「俺なんもやってねえぞ」

「……怖いといえば、こども遊びで、トントントン何の音?……お化けの音~って、あれ相当怖いよね」

「え?ああ弘子」

「こどもその後どうしたんだろ?」

「ん」

「お化けに殺されちゃったのかな?」

「こわっ!」



檜葉は弘子を一人宿に残し坂野を呼び出し、コンビニに酒を買いに行こうと誘った。

しばらく無言で歩く二人。

誰もいない道端。

夕暮れ。

急に檜葉は振り返って坂野の胸ぐらを激しく乱暴に掴んだ。

ちなみに檜葉拓実は元ヤンキーで喧嘩が強い。

坂野はひ弱だ。


「お前……あいつとキスしたろ。お前あいつとキスしたろっ!」

「え?何何何!」

「とぼけるなよ。弘子が言ってたんだ。マサとキスしたって」

「言うても。言うても。だって弘子の方から誘って来たんだ!」

「……」

「俺は悪くない」

「舌は絡めたのか?」

「絡めた」

「てめえっ!」


檜葉は拳を振り上げた。


「わあ!ごめんよごめんよ。殴らないで」

「……もう良いよ。酒買いに行こうぜ」

「コンビニまで三キロ。ねえ檜葉。何で弘子バラしちゃったのかな。キスの事を」

「ああ。あいつはそういう女だよ。当事者になって、渦中の人になって面白がっているんだ」



翌日。

にわかに、この静かな村に観光客の姿が増えているようだった。

活気づいている。

外国人の姿もある。


どこからか笛の音が。

大勢が吹いている。


「今年もやって来る。もうそろそろだ。行こ」


と弘子に促され、檜葉と坂野は村の共同墓地を訪れた。

見物客が他にもたくさんいる。

墓に向かって笛が鳴らされている。

やがて一基、また一基の墓から、焼かれていない死体が蘇り、ボゴボゴボゴと音を立てて墓の土を押し上げて現れる……。


「え。え。え」

「この村の一帯、土葬だからね」


と宝弘子が言った。


見物客は大きな歓声を上げる。

ゾンビたちはみな、腐敗しきった顔にまるで久しぶりの笑顔を浮かべているように見える。

ニ百体ほどのゾンビがさ迷い歩く……。

墓地は死臭に包まれている。


「え!え!え!弘子何これ何?」

「え。死霊祭り」



           続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週お会いしましょう。

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