第三話
おはようございます。第三話のお届けです。嵐が近づいている。弘子は海に行きたいと言う。お楽しみに!
「祭りの後、後の祭り」
(第三話)
堀川士朗
「台風の影響で、前線が活発になって雨が降るみたいだ。今日は海に行くのはやめよう。一日宿にいようや弘子」
「うん。檜葉」
「ゼロイチニーハチサンサンサンハチキューレーハチー」
「何だよそれマサ」
「ドルドルホモンリンケル」
「ああ、あれか」
「いつまでも永久にあり続けるって奴。無理だよね」
「うん」
「そうかな、あると思うよ」
「え?そうか?弘子」
「あるとこにはあるよ。檜葉、永久に好き」
「オエーッ」
「何でやねん」
「俺にも愛をくれよ」
「うるさいよマサ。お前東京に彼女いんだろ」
「だから嫌いだなんて言えないでね、どうか。ずっと。檜葉」
「弘子。日本語としておかしい」
「愛をくれよー!」
「追いかけてくるなら逃げるわよ」
「え。追いかけないよ」
「何だマサ、その程度かー」
宿にいる三人。
売り場で土産物を買おうかと思っていたが、干物とかそこら辺しか置いておらず、あと三日も滞在するのに部屋がその間干物臭くなると思い、購入しなかった。
部屋に戻ってまったりする。
まだ雨は降っていないが、風が強い。
「いやー。のどかだな」
「そう?何もないよここ」
「森川チロ先輩も呼べば良かったな。あの人いると色々なプロの演劇の話聞けて盛り上がる」
「でもチロ先輩三年生になって、品川由紀夫さんの舞台の濡れた近松出るようになってサークル辞めたでしょ。もう疎遠だよ」
「そうか?」
「うん」
「弘子。もうチロさんとは。本当に。本当に何もないのか?」
「……ないよ」
「……そうか」
「チロ?誰だよ知らない」
「大学の先輩だよマサ。何アワアワしてんの?」
「キョドってる」
「え、あ、ああ別に」
「海行こ」
「俺はお前がビッチだったとしても構わない。俺のところに戻ってきさえすれば」
「ね。海行こ。嫌な事みんな忘れて泳ご」
「泳ぐのはとても危険だよ弘子」
「ぶーぶー。ぶーぶー」
「豚さんになったのか?」
「そう。不満の豚さんに」
「かわいい。抱き締めたい」
「やめてよ檜葉。海行こ」
「危険だよ」
「じゃあ浜から見るだけ。泳がない。約束。行こ」
続く
ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。