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第一話

こんにちは。新作第一話のお届けです。青春ホラー小説。よろしくお願い致します!


 「祭りの後、後の祭り」

      (第一話)


        堀川士朗




登場人物


宝弘子たからひろこ

大勝大学二年生。

劇団海ホテルの女優。

漁師の娘。

こないだ父親が一億円借金して船を買った。


檜葉拓実ひばたくみ

大勝大学二年生。

宝弘子の彼氏。

劇団海ホテルに入っている。

バイト先で知り合った坂野を劇団に入れた。


坂野正和さかのまさかず

檜葉の友人。

宝弘子に惚れている。

定職には就かず、今はパチプロをしながら劇団海ホテルに入って活動している。

二人からはマサと呼ばれている。



▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



夏。

八月。


新宿から在来線を乗り継いで三時間もすると、その村は姿を現した。

下車した途端に海の匂いが立ち込めている。

太陽の光も独特の粘っこさがある。

ここは宝弘子のふるさとの村。

志出村。

漁村である。

近くに漁港がある。



大勝大学二年生の宝弘子は同級生で彼氏の檜葉拓実と、その友人坂野正和を連れて旅に訪れた。

今は大学も夏休みだ。

四泊五日の旅程。

三人とも、東京で劇団海ホテルという小さな劇団に入っていてキャストやスタッフも兼ねていた。

七月公演も無事に終わり、弘子が二人をふるさとの旅に誘ったのだ。

三人は劇団海ホテルの中でも特に仲が良く、いつも一緒に行動していた。


民宿、ムシ屋に泊まった。

八畳ほどの部屋に通される。

二食付き。

夜は布団を川の字に自分で敷いて雑魚寝だ。

この部屋にクーラーはなく、蒸し暑かった。


ムシ屋は宝弘子の実家からも近かったが、弘子は今回帰省しなかった。

この間から父親とケンカしていたからだ。

父親は家族に何の相談もせず、一億円借金して船を買っていて、家族の不興も同時に買っていた。

父親は地元の漁師である。


宿の部屋に夕暮れの明かりが差す。

宝弘子が中途半端な格好で座椅子に寄りかかって目をつぶっている。

檜葉と坂野が声を掛ける。


「弘子」

「弘子……」

「寝てるのか?」

「起きてるよ。目をつぶって考え事してたの」

「そうか」

「ずっとこのままいたいなあ。それは、絶対ありえないけど」


弘子にはこの旅の目的があった。

あるものを檜葉と坂野に見せたかったのである。

それは……。



土の下。

何かが中から土をえぐっている音が遠くの方から聞こえて来る。



            続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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