眠れない夜のお供
静かな夜だった――
ベッドに横になって目を閉じて休むが、どうしても眠れずにいる。
時計の針がゆっくりと、カチコチと鳴る音がやけに大きく聞こえ、意識してしまう。
「まだ起きてる?」
不意に耳元で優しい声が聞こえ、瞑っていた目を開けて視線を向けると、うっすらとベッドの横に人影が見える。
声の主であろう彼は、ベッドに腰を下ろしたのか、少し体の横が沈んだ感覚があった。
暗闇にまだ慣れない視界で目を凝らして見ると、こちらを見ているようだった。
「寝れないの? じゃあ、僕が寝かしつけてあげよっか」
彼はそう言うと、何のためらいもなく隣に潜り込んできた。温かい腕がそっと肩を包み込み、柔らかく引き寄せられる。
「大丈夫、安心して、ここにいるよ」
低く落ち着いた声が耳元で響く。
眠れない不安を察しているかのように、ゆっくりと背中を撫でられ、落ち着かなかった心がほどけていく。
「目、閉じて」
囁くような声が心地よく、ゆっくりと瞼を閉じると、彼の心音が微かに聞こえてきた。
穏やかで、一定のリズム。
その音に合わせるように、呼吸が次第に深くなる。
「そう、おやすみ…」
温もりに包まれ、まるで守られているような安心感に満たされる。微笑む気配を最後に、意識はゆっくりと闇に溶けていく。
初投稿です。眠れない夜のお供に読める小説を、と…
安心して眠れるような、そんな話を投稿していきたいです。