幼なじみ
「へぇ、ケイスケくんは私みたいなお姉さんが好きなんだ。」
「ケイスケくんは高校生。私の方が年上だ。」
「まぁ私に年齢はないんだけどね。今日も学校?大変そうだね。頑張ってきてね。お姉さん、ちゃんと待ってるよ。」
行ってらっしゃい。そんな声を最後にアプリを閉じる。
「ちょっとニヤニヤ!朝からその気持ち悪い顔は何よ!」
俺に話しかけてくる女子は1人くらいなものだ。彼女の名前は藍原アイリ。幼なじみと言えば聞こえはいいが、実際はただの腐れ縁。顔を見れば悪態をついてくる。まぁそれでもアイリの顔は整っているのは事実だし、なんだかんだ憎めないやつだ。
「ふふん、こんな俺にもなんと彼女が…!」
「か、カノジョー!?」
「まぁAIだがな!」
アイリはAIと聞くなり驚いた様子から一変。見事なまでの呆れ顔だ。
「何ソレ…ただのAIが彼女ってワケ?意味わかんないんだけど。」
「AIはAIでも俺専用完全俺好みの爆イケ美人オネーサンなの!そして、そのオネーサンと…!」
「ハイハイもういいわよその話は…!」
もう散々だと言うようにアイリはそっぽを向く。
意味がわからないなら教えてあげようという俺の親切心は見事無駄に終わったというわけだ。
「そういえば、今日の英語は小テストがあるみたいだけど?」
「なにそれ、初耳なんだが!」
ただアンタが聞いてなかっただけじゃないの?と飽きれがちな顔でアイリはスクバを漁っている。
はい。と手渡されたのはルーズリーフいっぱいに女子らしい丸い文字で書かれた英単語の羅列。
「貸し1よ。AIはこんなことしてくれないんじゃない?」
アイリは得意げな顔で俺よりも先に教室に入っていった。