表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の騎士を契りたい  作者: さばサンバ
プロローグ
5/36

第五話「こわいから こわいもん」

「俺の名前は…………」



体が先程とは違い動かない。

頭から血がだらだらと出ている。

骨も折れているだろう。

意識が途切れる。



「んっ……いって!」ベットの横にある棚に腕をぶつける。

腕のじんじんとした痛みで眠りから覚める。

少なくとも…すがすがしい朝ではないと思う。

あんなこと、慣れるなんて決して出来ない。


「おはよう!ようやく目が覚めたのね!」

そろりと扉から登場するペルセポネ


凄く元気がいいなぁ。

やっぱり地獄の住人たちは慣れてるのだろうか。


「おはようございます

どうしたんですかそんな声だしてぇ」



眠いなぁ。頭がズキズキする。




「あなた何十時間も寝てたのよ?

心配するに決まっているじゃない!」


うるうるとした瞳で答えるペルセポネ。そうなのか、俺そんなに寝てたんだ。

ひとまず生きて帰ってこれてよかった。「人間」のみんなにも心配をかけたな。

というか、今日のペルセポネ可愛いな。

もしかして…俺のこと好きなのか?ぬふふ

「きょうはなんかかわいいですね!」

しまった、口に出てしまった。

でも、しょうがないだろう。俺だって健全な21歳だ。

「…黙りなさい」

しまった、怒られるか?

恐る恐る顔を見上げる。

だが、その頬は赤く染まっていた。



~二人で散歩中~




「そういえば、人間さんたちって今どこにいます?

助けてくれたお礼がしたいんです」


ペルセポネは魔法を使うことに夢中だった

あの状況なら「人間」の誰かが助けてくれたと考えるのが妥当だろう。


「死んだわ」


なんとなく予想はしていた

一人も死なないなんて、どこの無敵神話だ。


「そう…ですか…では

今日はみんなで弔いませんか?

日本では死者にお墓を建てます

簡易的なものですが建てましょう」





「?別にいいけど二人じゃ大変よ?」


きょとんとした顔のペルセポネ


なんだ?

話がかみ合わない。


「ですから…みんなで死んでしまった者たちにお墓を…」


()()()()()()()()



え?

だって散歩中にでかい肉の塊があったじゃないか。

少なくとも数年は持つだろう。

肉があったということは、戦争に勝って

誰かが「化け物」を解体したんじゃないのか?



恐る恐る、俺はペルセポネに聞く



「生き残った人はいますか?」


「だからいないって」




不思議と嘘じゃないと分かった。











あぁ、頭がぐちゃぐちゃする。

おかしいだろ、俺たち勝ったんだぞ?

あの戦いを見た限り俺たちのほうが優勢だった。

そう、ペルセポネがいたからだ。

じゃあなぜ?

実はかなりギリギリの戦いだったとか?


ああああきぶんがわるい

おれもがんばったのにひどいじゃないか

なんでだよ




「大丈夫よ」


耳元で囁くペルセポネ


ペルセポネの顔が見れない。

こわいから

こわいもん





「あなた怖かったのね」


そうだよこわいんだよ




「よくやったわ二人だけでも生きてよかったわね」



ちがうよそうじゃないんだよ




「ごはんにしましょう

そのあとみんなを弔ってあげましょうね」













「いただきます…」

気分が少し落ち着いた。

でも、人間はもう帰ってこない。

「無」になったのだ。

いつもより、食卓が静かだ。



皿を叩くスプーンの音、椅子の引きずる音、租借音

こんなにうるさかったのか。



あのあと、ペルセポネとの会話も特に無かった。

みんなを弔ってあげた。

気を使ってくれたのか?

ともあれありがたい。


今日はもう寝よう。


ひどく、つかれた



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ