第三十二話「再開」
負ける負ける負ける。
無理だ、これは。
少し先にはイザナミと同等、またはそれ以上の実力を持った天使が数百といる。
違う、あれは神だ。決して人類では勝てることのない神様なのだ。
人間と悪魔も戦意喪失している。
本能で分かるのだろう。「勝てない」と
「戦争を終わらせる魔法」「・」
矢の大群…数百万だろうか
人間と悪魔を襲う。
あぁ、おわった。
「ははっ!こうでなくては!」
楽しそうな、無邪気な声が聞こえる
悪魔の長だ。
声を認知した瞬間けたたましい音が鳴る。
矢は風圧で何処かへ飛んでいき
神がちりじりに分断され、天使は皆焼け焦げていた。
「律…落ち着け…」
肩をぽんとイザナミに叩かれる。
「為すべきことをしろ
今お前のやるべきことはなんだ」
イザナギも楽しそうな目をしている。それほど待ちわびた瞬間なのだろう。
「大天使を殺したいです」「あぁ!その言葉を待っていた!行ってこい!」
あぁ行くぞ、見ててくれアラエル。
「二叉の槍」「天逆鉾」
びゅんと音速で移動する。イザナギの剣が三つに変化する。
「ここは頼みました」「あぁ」
悪魔と人間も長を見ると歓声が上がり
神のいる場所へ一目散に向かう。
実力的に、焼け石に水としか思えないが
士気が上がっているのならありがたい。
矢の雨が降る。槍で全てガードする。
先程の爆撃から生き残った少数の天使たちがこちらへ敵意をむき出しにしている。
「光の光線を出す魔法」「・・・・・ー」
びゅんと棒状の光が凄まじいスピードで向かう。
「光の光線を吸い込む魔法」「・・・ーー・」
掃除機をイメージすると、ブラックホールのような球体が光線を飲み込む。
現代の知識が役立った瞬間だ。槍を投げ、一人の天使を貫き殺す。
天使は再度魔法の準備をしている。
「尖った岩を空から降らせる魔法」「地面から拘束する鎖を出す魔法」「・・・・」「・・-」
地面から生えてくる鎖に体を縛られ、高速の岩の弾を食らってしまう。
岩が体を貫き臓器を抉る。「あぁぁぁ…!」
これくらいの痛み我慢しろ。意識を別のことに集中させろ。
「二叉の槍」そう唱え、槍を投げる。
高速…音速だろうか、霹靂の如く凄まじいスピードで天使の体を横に真っ二つに切断する。
「体の傷を治す魔法」「・・・||」
早く、大天使の元へ向かわねば。「火の竜巻を出す魔法」「・」
「我の名は炎の神!アドラヌスである!」空からびゅんと何者かが落ちてくる。
全身が焼け焦げ、体が焦げ臭い。
「二叉の槍」高速で移動する。「あ…おい…!まて!」
アドラヌスの呼び声がする。あいつには敵わない。
体が痛い。風が傷跡に染みる。体も外部は治っているが、内側は傷ついたままだ。
あいつは他のやつらに任せるとしよう。「おいおい!待ちたまえよ!」
炎の渦の中からまたもアドラヌスが現れる。
「中々腕の立つ者に見える…
どうだ!我らに仕えぬか!」「嫌です」
即答する。誰がお前らなんかの部下になるか。
「そうかそうか…それは誠に遺憾である…」
「では…死んでくれぬか…」「世界を破滅に導く炎の玉を出す魔法」「・」
とても綺麗だ。
思わず息を吞む程の、頂点が見えない位の大きさの火球が
アドラヌスの掌から出る。「終いとしよう」
たかが俺の魔法でこれを防ぐことは出来るのか?
…やるしかないんだ。死ぬことが決まっていても食らいつけ。
「そこで突っ立ってろ」「あぁ!我に匹敵する魔法を見せてみよ!」
「神の心臓を潰す魔法」「・」
「…あぁぁお前…その力…」アドラヌスが絶命する。
なんだ、俺は何もしていないぞ。
「ごめーん!」上空から声がする。
「遅れちゃった!」どんと舞い降りる姿は、本当に女神のようだ。
イザナミが助けに来てくれたのだ。
「なんで…ここに…」
「ごめんね!詳しい説明は後々!やることがあるんでしょ?ここは任せて!」
目の前には騒ぎに駆け付けた数十人の神がいる。
「頑張ってね!」「…ありがとうございます」
一言交わすと、イザナミに背を向け走る。
随分と走った。
ここはどこだろうか。体が痛い。火傷には呪いが掛かっており
思うように回復魔法を発動できない。
「やっぱりここにいた~!」上空から声がする。
「運命ってあるんですね~!」腰の鞘に剣を身に着けた
美しく、儚い俺の宿敵が目の前に現れる。
「うわ~酷い傷~今のうちに~優しく殺してあげます~」ミカエルだ。
「やれるもんならやってみろよ」「…生意気な態度~」




