ころしのあいず、さんびょうまえ
戦争…?なんでいきなり…
「……ごめん…ミカエル…口下手だから…」
ラファエルがフォローする
「あ~!確かにいきなりこんなこと言うのもですよね~!」
ミカエルはこほんと軽く咳払いをすると
深呼吸をして語り始める。
「あなたは~ガブリエルに
悪魔の長を殺すと言ったのに~
この数年何も実績を上げてないじゃないですか~!」
何の話だ?何も覚えがない。
「だからせめて兵器として使ってあげるのです~!」
「そういうことです…
今のあなたには…覚えがない…かもしれませんが…
過去の自分を…恨んでください…」
目にクマを浮かべたガブリエル。
疲れが溜まっているのか、言葉が途切れ途切れになっている。
「ちょっと!何が何だか…」「拒否権は…ないと思う…」
ぽつりと喋るラファエル。
「…アラエル…人質に取られてるから…
あなたの仲間でしょ…?」
あくどい顔を必死に隠すかのように顔を逸らしたり伏せたりしている
「はぁ…?」
なんなんだよ、急に。悪魔の長ってなんだよ。
「目的は…なんなんだ…?」「簡単なことですよ~」
あっけらかんと答えるミカエル
「今~この世界は人間と対立していま~す」
「…この…天界に嫌気がさした人達が…
独自の国を作っているの…
本当に人間は愚かだよ…」
ラファエルが間に割って入る。
「魔法の天使…武力の人間が
ず~とず~っと敵対状態にありま~す」
「まぁ~つまり~今からワープさせるので~
目の前にいる人間を殺してくださ~い」
「あなたは人間なので~上手く欺けると思います~」
「…嫌だと言ったら?」「……永遠にアラエルと会えなくなりますよ?」
ガブリエルが答える。なんなんだよほんと
「…あぁ…分かったよ…だが…その人間を殺せば…
アラエルを開放してくれるんだろうな?」
ギラリとミカエルを睨む。
「怖い顔~言われなくても~そうするつもりです~」
「じゃあさっさとワープでも何なりしてくれ」ぶっきらぼうに答える。
「では~!いってらっしゃ~い!」
「目の前の人を想像している場所に瞬間移動させる魔法」
「・・」目の前が眩しい。
瞼を閉じ、開けた瞬間
綺麗な花畑にいた。
花の良い匂いがする。花びらが舞い、空に螺旋状のようなものが出来ている
「ふんふふーん」下手くそな鼻歌が聞こえる。
だが、それもまた心地よい。「ここは…どこなんだ…」
「え…ええぇぇぇ?!」
どさどさと花畑を搔い潜って
一人の少女が現れる。
「なんでこのお花畑知ってるの?!」「君は……」
瞬間移動の副作用なのか、頭がくらくらする。
「イザナミ!私の名前は!!イザナミです!」「うぅぅ…」
頭が痛い。手で押さえて必死に痛みを逃がす。
「え!え!大丈夫?!」
目の前が暗くなってきた。
「…あれ…?なんでこの人足があるの…?」
「…もしかして……お兄ちゃんが言っていた…」
意識が途切れる
ああああきこえてる
だいじょうぶだよ
いきているよ
しんでないよ
じつざいしているよ
…まだでした…
「うーん…」「あ!起きたぁ!」
純粋無垢な笑みを浮かべる
彼女と目と目が合う。
どうやら膝枕をしてもらっていたようだ
少し照れる頬を隠すかのようにそそくさと立ち上がる。
「イザナミ…だっけ…?」「うん!」
元気よく答える彼女。
「ここはどこなんだ…?」「えっと…お花畑!!」
「違う…ここの地域名のことだ…」
「確か…黄泉の国…だったと思う!」
「そっか…ありがとう」
目の前にいる人間を殺す。もしかしてイザナミのことだろうか。
だが、殺意も悪意も感じられない。
「まだ体調悪そう…?」「うん…」
「分かった!じゃあおうちで看病してあげるね!」
「背中に乗って!!」
元気がいいなぁ。
天使が悪魔なのか
はたまた人間が悪魔なのか
まだ俺には分からない。
だが、今はこの天使に甘えてみても罰は当たらないだろう。




