第十八話「魔法使いの戦士さま」
「アラエルさん」「どうしましたか?」
運転に集中しながら
ちらちらとこちらの様子をうかがうアラエル。
「俺…魔法使ってみたいので教えてくれませんか?」
「えぇ~?!」車がガタコド揺れる。
「そ…そんな驚くことでした…?」
「驚くというか…ペルセポネさんから
聞かなかったんですか?」
目を見開きながらこちらを凝視する。運転に集中してくれ。
「魔法って人間は使えないんですよ?!」
さも当たり前のことを仰天のニュースのように語る。
「それは…知ってますけど…
でも…やってみないと分からないじゃないですか!」
百聞は一見に如かずだ。
「無理です!無理無理無理!」両手の指先でばってんを作る。
足だけで運転する彼女を見ると、とても不安だ。
さっさと真面目に運転してくれ
「というか…なんでいきなり…」再度ハンドルを握り正面を向くアラエル。
だが、こちらと正面に視線をちらちらと交互に向けているのが分かる。
「昨日のアラエルさんの様子…ちょっと変だったので…
野菜を作れるようになって栄養取を摂取してもらいたいなと…」
「あー…」昨日の様子を思い出して少し照れるアラエル。
「…分かりましたよぉ!仕方ないですねぇ!」
車内に響き渡る声。
「降りてください!」車が止まる。
「私が直々に教えてあげましょう!」
「まずは簡単な物から作ってみましょう!」
「石を飛ばす魔法」「・・ー・」
石ころがビュンと飛んでいく。
「おぉ…すごい…」「…!そうでしょうそうでしょう!」
天使の翼がぱたぱたと動く。喜びの表現だろうか。
「魔法はイメージの世界です!
例えば石と強風みたいな!」
「あとは体内に埋め込まれている
魔法陣を起動させて呪文を唱えれば良いのですが…」
「あなたは地球人なので体内に魔法陣はないと思います…」
しょんぼりとするアラエル。
だが、やってみないと分からない。
「はぁぁぁぁ!」
何もでない…
人間が魔法を扱える、おとぎ話のような世界は実在しないのだろうか。
「うーん…」手を顔に当て考えるしぐさをしている。
「…あ!」何かひらめいた様子。
車へ戻るようだ「乗りなぁ!」
テンションが高い
大丈夫だろうか
また鹿でも轢かなければいいが…
数十分後
「…あ!ありました!」
アラエルが指さした先にはでこぼこ
とした岩をねぐらにしている悪魔の姿があった。
「もしかしたら死の淵で得られる物も
あるかもしれません!」
おいおい何言ってんだ。
「人を空に浮かせられる魔法」「・・・・|||」
宙を浮かぶ。
ついでに、持っていた槍も手から離れる
「じゃ!ここで見とくので!回復魔法は任せてください!」
手をグットポーズにしている。
良い訳がない。
悪魔の近くに降ろされる。
幸い、まだ悪魔は気付いていないようだ。ここは慎重に…
「じゃあ!!!頑張ってーーー!!!」
その轟く声で悪魔たちの視線がこちらへ向く。
「くそアラエルが…」
悪魔が火を吹く。横に避けるが
攻撃手段がないんじゃどうしようもない。
少しの隙に
悪魔たちが一斉に襲い掛かってくる
咄嗟に腕でガードするが腕の肉がえぐれる。距離を取る。
立て続けに悪魔はケタケタと笑いながらこちらへ猛突進してくる。
腹に当たった。骨が砕けただろう。
早く助けろよアラエル。
そんな呑気な目で無様な俺を見るな。
あああ頭がぼやける
イメージ?
そんなのこんな状況じゃ、出来そうもない
ふらふらと立つ俺を見て、悪魔は勝利を確信しているのか
油断しながらゆっくりとこちらへ向かってくる。
あー絶対死んだよ。
だが、変に頭が冷静だ。
こんなとき「尖っていて」「縦長な鉄」があったらな。
体内が熱い
心臓が書き換えられているようだ
体が光る。アラエルの目が丸くなり。
悪魔は距離を取る。
俺はいつから人間ではないのだろう




