第十話「テンシ アラエル デス!」
朝早くに起床。ランニングへ向かう。
これも訓練の一環だ。
地獄にいた頃は暑く長時間走るなんて
とてもとてもだったが、やはり天界は良い。
太陽も相変わらず眩しく昇っていく。
「風が気持ちいいな」
前は外に出ることなんて楽しいと思ってなかった。
「起きてください
ペルセポネさん!今日はギルドへ行くんでしょう?!」
「ん……ひゅ……ひゅぅ…」
もしかしてペルセポネって朝に弱いのか?
いつもの威厳ある人とは思えない
「お…起きないといたずらしますよ~…?」
なんてな へへ
「ん…?おはようぅ…なにかいったぁ…?」
「いえ?何も言ってないですよ??」危なかった。
宿が提供している軽い朝食を頂きながら会話する
「ペルセポネさんは朝食食べないんですね」
「えぇ…私には必要ないし…お金も有限だしね…」
必死に意識を保とうと、頭をがくんがくんとする
ペルセポネに少し笑いが込み上げる。
「うぅ……眠い…」
「ここがギルド…」
やはり天使たちの悲願から建築されただけあってとても大きい。
よっ!大和魂!
門のような大きい扉を開ける。
中にいた天使たちの視線がこちらに集中していた。
驚いた顔をしている天使がちらほらといる。
ここは天使以外立ち寄らないのだろうか。
一直線に貼ってあるカーペットの上を2人がテクテクと歩く。
「すみません」カウンター越しに後ろを向く
ひらひらとした羽を持つ天使に話しかける。
天使は後ろを向いたままの状態だ
「地球語を喋るなんて珍しいお方ですね!」
目を見て話しなさい。俺は天使じゃないぞ。
「何か勘違いされてるようですが俺は天使じゃありません」
天使はサッと前を向く「あわわ?!そうだったんですか?!
すみません勘違いしてしまって!!声がギルド内にこだまする。
いつものことなのだろうか。天使たちはしらんぷりだ。
「は!初めまして!
私の名前はアラエル!
天使アラエルです!!」
アラエルか
頑張り屋さんっぽいじゃないか。
「あ…俺は律です」
「律さんですね!これからよろしくお願いします!」
元気よく喋るアラエル
「悪魔の討伐依頼はでているかしら?」
ペルセポネの不愛想な声。
きっとアラエルに興味がないのだろう。
天使たちがペルセポネを睨みつける。
アラエルはギルド内のアイドルのような存在なのだろうか。
「ぴーちゃん!今日の依頼ってあるかな?」
隣の鳥かごの中にいるインコに話しかける。
「ピッッピッ!サタンジェロ!チカ!
アクマ!タスウ!ホウシュウ!キンカ!ゴヒャクマイ!」
「すごいすごい!よく覚えてるね!ぴーちゃん!」
「イヤー!テレルゾ!!」天使たちが歓喜の声をあげる。
なんだこれ茶番か?相変わらず無表情のペルセポネ。
「だそうです!この依頼受けますか?」
金貨500枚…実質500万円ということだ。
それほど難易度が高いのだろう。
どうすべきか…
「受けるわ」
即答するペルセポネ
言葉はわからないが、天使たちの笑い声が一斉に響く。
きっと馬鹿にしているだろう。はたしてやれるのか?
「大天使以下の有象無象話にならないわ
私たちの実力を天界に響かせてあげる」
そういって俺の手を取るとペルセポネは
ギルドの扉を勢いよく開く。
「あはは…ちょっと疲れたわね…」
落ち込んでいるようだ。それほどまでにひどい言葉だったのだろうか。
…少しもやもやする。この際天界の言語を学ぶのもいいかもしれないな。
ここがサタンジェロ城か…侵入は容易だった。
地下へやってきた。心臓がばくばくする。
やはり殺し合いというのは慣れないものなのか無駄に周囲を警戒してしまう。
「落ち着いて 冷静に」
顔を見て悟ったのか背中を撫でながら耳元で喋りかける。
そうだペルセポネの言う通りだ。冷静沈着になろう。
目の前に見張りの悪魔が十体いる「ここは私が」
俺の先頭に立つペルセポネ。悪魔たちが気付いた。
まずいぞ。どうする気だ。
一体の悪魔が火を吹く。
「馬鹿ね」「製粉した小麦を出す魔法」
「・ー・ー・・・・・ー」
小麦粉が舞い、悪魔たちが大爆発する。
見る影もない、悪魔は塵となった。
爆発の音を聞きつけた悪魔の大群が押し寄せてくる。
「この程度なんてことないでしょ?
二叉の槍を扱える…あなたなら」
「…不可能ではない……かと……」
落ち着け。今までも旅路で散々殺してきただろう。
槍を構える。
魂が共鳴する。




