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距離感

作者: 清水漱平

どこいらへんでなのか、よくわかんないんだけど、「ぼく」「おれ」「わたし」すべてを含んで自分自身。「あなた」と「きみ」で同一人物。同じ日の同じお茶のひとときでも、呼び方がすぐ入れ替わる。

無意識に従う僕は弱う立場

せめてもの意地でいい

強く言い返す

なのに声とても小さくて

ふるえてしまっていたっけ


僕は迷い迷い

おれなりに決めた

愚かな選択だと

しかられたけれど

自分の心に嘘をつけませんでした

それだけのことでした


引き潮 みちびく 命の叫び

必死にこらえて おさえこんでいた

本音 こみあげる

容赦なく強い


自分の中にも距離感があってさ

僕は僕とわりきれず

おれを呼び出した

なにをそんなためらっているのさと

あっさり飛び越えるライン


私が覚えている

あなたの横顔

その頬に手をのばして

触れたときの

驚いた瞳

抵抗のない手のひら

握り返された


解決したくて

謎解きの窓辺

分厚い本の背表紙を眺めているだけでした

どうにもならない状況で

どうにかしてやるさ


雨どいを激しく流れて

たたきつける地面

いまにも折れそうなほど曲がり切った茎

たぶん大丈夫

だって おれは知ってるから

陽射しに向かって伸びていく野性を


僕が泣いた夜のことは

誰にも言いません

おれは強がって反撃を与えた

喧嘩両成敗が気に入らないと逆恨みされ

妙な烙印を押された


やるだけやったらスッキリ

ってほど割り切れたもんじゃないのは事実

だけどね

あのとき

あのまま

決めかねてたら

いまの私になれなかっただろうな


すべては絵空事

なにもかも空想

そんなものかな

生き抜いて

生き抜いて

生き抜いてきた

自分に甘えて生き抜いてきた

おおげさな物言いじゃ

誰からも相手にされないかもだけど

あのとき

あのまま

とまどうだけじゃ

なにも変わらない気がしたんだ


あのとき

あのまま

決めかねてたら

いまの私になれなかっただろうな


かしこくない

むしろ愚か

好きなように言ってください

僕は好き

こんなおれを

私なりの距離感



意識的に使い分けることもあるけれど、無意識に違っちゃってることも多いので、そこいらへんは「宇宙の采配」ってことにしておいたらいいんじゃないかな。って思ってるよ?

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